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□七つの大罪〜嫉妬の刃〜
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この世で一番厄介なものは何かと男に問えば、大概の者は女と答えるだろう。
実際、その気持ちは痛い程理解できる。
過去に伝わる諸々の説話などから見ても、お岩然り、磯良然り、女の執念が尋常ではないことがわかる。
男にとってみればこんな執着は迷惑に他ならないものだ。
だが、男に本気で尽くそうと思う女達からしてみれば、平気で浮気をするその男のことが憎くて仕方がない。
そちらの気持ちも重々わかる。
要はどっちもどっちではないか。
などと、うっかり口を滑らせようものなら双方の恨みをもろに被ることになる。
気をつけなければならない。
だが、ここだけの話、やっぱり怖いのは人そのものではなく執念なのだ。
よくその場にとどまり続ける亡者の怨念が引き起こす怪奇現象などが紹介されているが、死者が発する感情とは恐ろしいものである。
もしも。
もしもその怨念を、生きた人間が抱えていたらどうなるのだろうか。
生きた人間特有の複雑な心情に、死者と違って物理的干渉が可能な肉体。
何が起こるかなんて想像するのも恐ろしい。
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