NOVEL

□秘密
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最初の'飲まされてしまった'人物が出てきたのはそれから二日後の朝であった。

「山崎、山崎はいるか!?」

バタバタと近藤が山崎の部屋へと飛び込んで来た。
息を切らして、山崎しかいない事を確認すると、

「歳だ。」
と声を潜めて言った。

「え。」

まさかの人物であった。

「何だ、こりゃぁ!?」

土方が今にも爆発しそうな苛立った顔で着物をはだけさせると、大きな乳房がぽろりと露わになった。

「歳・・・実はな・・。」

これまでの経緯を近藤が説明すると、段々と土方の顔が青ざめていく。

「じゃぁなんだ、少なくとも一人、多くて三人はその薬を飲んだってのかぁ!?」
「山崎君が言うには一週間もあれば治るそうだが・・。なぁ!」
「え、ええ、とにかくこの大きさでは目立ちますので、さらしでも巻きましょう。」
慌てている土方の姿に圧倒された山崎はとにかく応急処置しかする術がなかった。
「盗んだ奴は切腹させてやる!!」
「まぁまぁ!お前はこれが消えるまで休んでいろ。処罰は俺に任せて。」
近藤はあたふたとしながらも、
必死で土方を宥めていた。

「もし消えなかったらどうするんだよ!カッちゃん!!」
「消える!そうだろう、山崎君!」
「はい、時間が経過すれば薬の効能も消え、そうすれば女性ホルモンが沈静化致しますので・・。」

その筈だ。

山崎は二人の慌てように少しだけ、
自信がなくなっていた。

「山崎君!犯人を見つけてくれ!俺がたたっ切ってやる!」
「歳ぃ〜!!!一生このままな訳じゃないから、な、とにかく今は落ち着くしかない。」

土方の殺気は凄まじいものであった。
二人はあまりの酷さと似合わない乳房の組み合わせに少しだけ身体が引けていた。

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