Short
□lovesickness.
4ページ/7ページ
[今メールが着たが、聞くか]
端末ロボットというのだから当然メールも音声通信も出来る。
尤もメールの場合はアダムに画面を接続しなければいけない為に、接続しなければアダムが読み上げるシステムなのだが。
今は希望さえすれば画面付きの端末ロボットも支給されるのだが、彼女がアダムを手放さないのは愛着があるのと、
バージョンアップさせた知能や話の切り返しが気に入っているからだ。
「アルから?それ以外なら聞かない。」
アル以外ならきっと仕事の話だ。なんてぶつくさと言いながらも彼女はアッシュブロンドの髪をくしゃりとかきあげる。
[喜べ、差出人はアルベルト・リヒターだ]
其れを聞いた彼女は、ニッと笑みを見せた。
[読み上げるぞ…「TO グレイ」]
TO グレイ
仕事が一段落したようだな、アダムの通信から覗かせてもらったよ。
これからラウンジに出ないか?
こっちの仕事も丁度休憩できる時間が空いたんだ。
勿論俺の奢りだ。
FROM リヒター
「Mのガキをさっさかと追い出して」
[気付いてないようだが、あの客は夢の世界だぞ]
「それならば音量を上げなさい。若しくは更に揺さぶりかけて。」
[…。OK,MASTER]
遠くで、子供の驚く声が聞こえた。