短編集

□お誕生日によせて
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<かずSIDE>

幕末の時代にタイムスリップして来て数カ月
今は薩摩藩邸にお世話になっている。

初めは何にも出来なくて落ち込んだりもしたんだけど
最近は伊集院先生のお手伝いも出来るようになって
この時代に居場所が出来つつある。

そりゃあ未来に帰りたいっていう気持ちもあるけど・・・。

それよりも大久保さんの傍にいたいって気持ちの方が大きくなっていた。

大久保さんとは・・・何にもないです。

朝餉と夕餉を一緒に食べるくらいで
それも大久保さんが忙しいときは帰りが遅いから一緒できないこともあるし
仕事で出かけている時は何日も会えないこともあるわけで。

寂しくないって言ったら嘘になるけど
仕事をしている間は気がまぎれるし
伊集院先生や半次郎さんも気にかけてくれるし

なにより、最近私と同じようにタイムスリップしてきたまりやと
時々薩摩藩邸や寺田屋で会えるようになって
随分気持ちが楽になっている。

まりやには悪いけど、まりやがこの時代に来てくれて私は嬉しかった。




まりやは職場で知り合った2つ下の親友。

未来で居なくなった私を一人探し続けてくれていたみたいで
私が来た時と同じような体験をしてこの時代に来て
あのお寺で以蔵に拾われたらしい。

そう言えば私も、私の前にこの時代に来たるりさんも
この時代で初めて会ったのは以蔵だったっけ・・・。

なんか以蔵がキーワードだったりするのかな。

そんな事を考えながら
私は縁側で以蔵が来るのを待っていた。
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