短編集
□来年の今日まで
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<かずSIDE>
何時もなら、私はもう寝ている時間なんだけど
今日は特別にちょっと夜ふかしをして
まだ自室の居間で仕事をしているだろう大久保さんの元へ
お盆を手にそろりそろりと向かう。
ここ数日、大久保さんはとても忙しそうにしていた。
朝餉や夕餉を一緒に食べられないだけじゃなく
顔をみることもできないくらいに。
朝早くから夜遅くまで表座敷に詰めていて
奥に帰って来てからも、自室にこもって
持ち帰った書類に目を通しているみたい。
普段あんまり食べることに執着しない大久保さんだから
忙しいと食事も満足に摂ってないんじゃ・・・。
未来に比べるとまだましな暑さだけど
それでも毎日こう暑いと
只でさえ体力が奪われてしまう。
私は大久保さんの身体が心配だった。
それに今日は
どうしても大久保さんの顔を見て
言いたいことがあったから・・・。
叱られるのを覚悟して
大久保さんに会うために
深夜、大久保さんの部屋に向かっていた。