徒歩5分306号室

□第一話
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春。高校生。一人暮らし。

「ひゃっふぅぅぅぅぅ!!」

私は真新しいベッドて飛び跳ねる。あと1週間で憧れの高校生になる。それに伴いなんと一人暮らしを始めた。私の通う高校はあの超大手の会社が経営している学校で、その子会社のマンションを格安で借りる事ができるのだ。立地条件も最高で学校から歩いて5分!駅も近いしスーパーやドラッグストア、コンビニ、全部近くに揃っている。こんないい場所を一ヶ月【自主規制】円で借りて良いのだろうか?だがそれがこの学園の生徒の特権だ。

「っとー。」

私は飛び跳ねた後にベッドに横になり壁にかかっている制服を見つめる。なんてったって制服がすごくかわいいんだから。ふふと口角があがる。新しい制服に新しい学校、新しい友達。新しい家に新しい家具。新しい事づくめ。あぁ早く学校始まらないかなぁ…!






一週間後はすぐにやってきた。入学式も終え、クラスに戻る。自分の席についた私は、配られてあった座席表をぼーっと眺める。そこで気づいた。何故私はさっき気づかなかったのだろうか。私の前の席が彼である事を。

「ベル…トルト……?」

わたしの前の席にはベルトルト・フーバーと書いてあった。この名前は、そう。あの時共に戦った親友の名前。…ということは!ハッと前を向くと視界一面に大きな背中があった。あ、これ前が見えない………。……じゃなくて、とりあえず話しかけてみる事にした。

「ねぇ、」

そう声をかけると後ろを振り向いた。その瞬間、わぁっと自分でも予想していなかった声が出た。振り返った彼は紛れも無く彼だった。

「わぁぁっ!!ベル!ベル〜!」

一瞬彼は驚いた顔を見せた後にすぐに私だと気づいてくれたようだ。

「え、えっ…、リン…!?」
「そうだよ!私!リン・サマリーだよ〜!!」
「ほ、ホンモノなんだね!」

わぁわぁと一目も気にせずはしゃぐ私たちはそれなりに目立っていただろう。でもそんな事気にしていられなかった。だって今目の前にいる彼は遠い昔のあの世界で出会った事がある人だったから。それも、親友だったから。

「それにしてもリン、記憶あったんだね…」
「そりゃぁもちろんね。この学校には誰かいないの?」
「あぁ、ライナーがいるよ。」
「え、本当!?あのライナー!?」
「そう。僕はやっぱりライナーと幼なじみなんだ。」

私にその記憶があるのは物心ついた頃から。でも最初は私だけなんじゃないかと思ってた。けれど小学校に上がるにつれだんだん懐かしい顔ぶれをみる事が多くなった。確信を持った私はその中でも特別仲の良いサシャに聞いてみたんだ。するとやっぱりサシャも記憶があるらしく、他のみんなももちろん記憶があった。

「いや、それにしてもリンに会えるなんて嬉しいよ。」
「うん、私も!」

あの世界で何故か私はベルとすごく仲が良かった。一切恋愛感情とかは無く、本当に純粋な親友。だから親友と再会できるなんて嬉しすぎて話はぽんぽんと弾み、あれから10分はもう話しただろう。

「へぇ、ユミル達と中学一緒なんだ〜!」
「あ、そうそう、リンってここらへんに住んでるの?」
「うん、あのマンションに一人暮らしだよ〜。実家は電車で30分くらいかな?」
「え、マンション?僕も実はそこに住もうと考えてたんだ。」
「そうなの?住みなよ!」

突然家の事を聞かれてビックリしたけれど、そう言う事なら家が近いってのも私としては嬉しいし、メリットしかないので私は当然マンションを進めた。でもいくら安いと言っても学生のアルバイトではきつかった。

「でも、住むとしても僕自腹だから…バイトだけじゃキツイかなって…。」

ならばとわたしは閃いた。

「じゃあルームシェアする?」

別に恋仲でもあるまいしベルトルトの事は信用してるし第一そんな変な人間ではないので男女だろうと私はベルなら大丈夫だ。部屋だって何個かあるし。

「え、いいの?それならそうしようかな〜」

ということで。ルームシェアが決定いたしました。

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