徒歩5分306号室
□第二話
1ページ/1ページ
ルームシェアが決定してからはや一ヶ月。最初は大変なこともあったものの、もうこの生活にもすっかり慣れてしまった。家事は当番制で、今週はわたしが料理当番だ。
「ベルー、帰りスーパー寄って帰ろうよ」
「うん、いいよ〜」
帰りのホームルームも終わり、各々が帰りの準備をする中私たちはそんな家庭的な話をする。えっルームシェアしてんの、なんて驚いてたみんなももう何も言ってこない。でもそんな中でまだまだからかってくるのがコイツ。
「リン〜、お熱いですねぇ、ふぅふぅ!」
「だーかーら、ミーナ?そういう関係じゃないっつの!」
「はぁいごめんなさーい!」
何回言っても聞かなくて困ったやつね。ミーナもしっかりと記憶があって、クラスメイトになったときはそりゃあ驚いたけど相変わらずな性格だった。昔もこんなんやられてた気がする。本当にただの友達だっていうのに。
「んーじゃベル行こ?」
「うん、ミーナばいばい」
律儀にご挨拶をして教室を出て私たちはスーパーに向かった。
男女の友情なんて本当にあるの?って何回も聞かれたし、それ以前に私も思ってた。でも実際こうやってみると女の子同士の妙な気の使いとかもないし、例えば恋愛相談とかするなら異性の気持ちを分かっているので相談しやすいし良い答えを導いてくれる。まぁなによりもベルが良い人なんだな。性別以前の問題でベルの性格が好きだし。
「リンー、たまご安いよ」
「ん、本当だ。買い溜めする?」
「そうしたらずっと卵料理出てきそうだから嫌だな」
「ピンポン、なんでわかったの?」
放課後は適当に夕飯の買い出しとかをして家に帰る。直帰する日もあれば他の友達と遊ぶ日もある。
「あと買うものは?」
「無いよー」
「レジ並ぼう。にしても混んでるね」
やっぱり放課後のこの時間はちょうどマダム達の夕飯の買い出しとかぶってえげつない混みようだ。レジの前にものすごい行列を生み出している。
「かご持とうか?」
「下置いちゃおうよ」
「それは汚いから僕が持つよ」
「ん、ありがと」
わたしたちの日常はこんな感じです。