妄想
□ひみつごと
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わたし、リンフーバーには秘密がある。
誰にも言えないような、秘密。
それは、常識ではないから。
あってはいけないことだから。
実の兄の、ベルトルトの事が
好き。
「……お兄ちゃん?」
「リンが好きなんだ。」
私は今、生まれて初めて告白された。お兄ちゃんに。
「……ってあははははっ!お兄ちゃんっ!それは!サイコー!」
いきなりわたしの部屋に来て、話があるとかなんとか言って座り込んだと思えば。
「あっはははは、ひぃ、お腹痛い…」
真剣な顔もかっこよかったなぁ、とかちょっと照れたなぁ、とか思っていても、それを顔に出してしまってはフーバー家が崩壊してしまう。だから必死に押さえ込んで、普通の妹を演じた。
「いや、リン、真剣に聞いて欲しい、んだけど…」
どこで仕入れてきたネタなんだろうと考えていると、やはりいつにもまして真剣な顔したお兄ちゃん。ちょっと真面目に話を聞こうと思う。
「なぁにお兄ちゃん?」
「僕たちは兄妹だ。それも、しっかりと血の繋がった兄妹。」
「そうだよ、それがどうかしたの?」
「だから、今から僕が言う事は非道徳で可笑しい事だ。それでも僕は嘘をつかない。いい?」
「なに改まっちゃって、いいよ?」
これから話すであろう事は少し予想がついた。普段冗談を言わないのもあるけれど、お兄ちゃんの真剣な顔が脳裏から離れない。と言う事は、だ。自分の理想も入っているけれど、さっきの告白は本当?しかし、全く違う可能性もあるわけで。まだここで本当の妹の姿を出してはいけない、と再度気を引き締める。
「さっきも言った通り、僕はリンが好きだ。それは家族で、という事ではなく、人として、異性として。」
「ん…」
「僕が間違っているのは充分に知っているし、これを打ち明ける事で僕が、家族が終わるのも知っている。けれど、僕には我慢ができなかった…。日に日に女になっていくリンが、綺麗すぎて…。僕の妹では収まりきらない程…。」
お兄ちゃんはむずかしい顔をしながら心の内を全て話してくれた。涙目になりながらも、全部話したお兄ちゃんの顔に嘘は一切見受けられなかった。私が今までずっと悩んできた事が、同じだったなんて。そんな事、あるわけがない。けれど今こうして実際に起きている。