短いお話

□撫子色の初恋
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「おい、名無しさんー!もっと飲めよー」
「はいはい、飲んでますよ…」

キイチと喰がいないので、朔と二人っきりで夕食
名無しさんはいつもより静かな食卓に少しの寂しさと、ずっと恋い焦がれている朔と二人っきりということに嬉しさを感じていた

「朔さん飲みすぎですよ」
「今日はうるせー奴らがいねぇからな」

朔はニカっと笑い、ワインの入ったグラスを呷る

「私、そろそろ部屋に戻りますね」

夕食を食べ終え、名残惜しいが部屋に戻ろうと立ち上がった名無しさん
立ち上がるためにテーブルについたその腕を掴み朔が引き止めた

「もう少し、俺に付き合えよ」
「でっでも…私あまりお酒も飲めないし」
「そこに居てくれるだけでいいから」
「…わかりました」

朔に促されるまま名無しさんはまた椅子に座る

「なぁ、」
「はい?」
「俺さ、お前より年上じゃん?やっぱ恋愛対象にはならねぇの?喰とは同い年だし、そっちの方がいいのか?」
「急に何言ってるんですかっ…!酔ってるんじゃ…」
「酔ってねぇよ」

急な質問に驚き朔を見れば、真剣な顔で名無しさんを見つめていた
目が合い、顔が赤くなるのが自分でもわかる

「俺はずっとお前の事が好きだったんだ。お前は?」
「私も…私も好き、です…壱號艇にきた時からずっと好きでした」

視線だけ朔に向ければ優しく微笑んでいるのが見えた
つられて名無しさんも頬が緩む
その後すぐ、ガタッと音がしたと思えば朔が立ち上がって名無しさんの後ろから首に手を回し、耳元で囁いた

「んな可愛い顔すんなって…食っちまうぞ?」
「えっ…」
「そろそろアイツ等が帰ってくる頃だし、続きはゆっくり俺の部屋でな?」

撫子色の初恋

「なぁキスしたい」
「いや、あの…」
「嫌…?」
「そんな!えっと…私、実は初めてで…恥ずかしいなぁ、なんて」
「俺が、初めての彼氏…ってことか?」
「はい、朔さんは私の初恋の人ですから!」
(ヤバい嬉しすぎる…!)



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