お題/シリーズ
□ver.平門
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任務から帰ってすぐ平門の部屋に呼ばれ、来てみれば満面の笑みで迎えられた
「おかえり、名無しさん」
「ただいま…別にわざわざ呼ばなくても後で報告にくるのに」
「それもそうだが、別に報告をさせるために呼んだ訳じゃないからな」
名無しさんに座るよう促した平門は紅茶を淹れるために立ち上がる
「私やるよ」
「たまには俺が淹れた紅茶もいいだろ?」
二人分の紅茶を用意して、名無しさんの隣に寄り添うように腰を下ろした
「さぁどうぞ、お嬢さん」
「あっありがとう、ございます」
「どうした?」
「いや、なんで隣に…しかも近い!」
「気にするな」
「気にする!」
平門の低い声が耳元で聞こえる度に心臓が跳ねるような感覚
いつも聞いている声なのにどうしてこんなに意識してしまうのか…そんなことを考えながら名無しさんは顔に熱が集中するのが自分でもわかった
「久しぶりに会ったのに、つれないな」
「久しぶりって…たった何時間じゃない…」
「それでも名無しさんに会えなかったことに変わりはないだろ?」
「……」
わざとやっているのかと思うくらい平門は耳元で話しを続ける
「顔が赤いようだが…」
「気のせいです!」
平門はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべたまま、下を向いてしまった名無しさんの腰に手を回し耳に唇が触れる距離で囁く
「可愛いよ、名無しさん」
「ひゃっ…」
名無しさんは反射的に手で耳を押さえ離れようとしたが、その手を平門に掴まれてしまった
「逃がさない」
「に、逃げた訳じゃない!」
「じゃあ、この手は?」
「それは…」
「名無しさんはイケナイ子だな」
執拗に耳元で囁く平門は楽しそうで、名無しさんの腰をガッチリ掴んだまま離さない
脱出不可能と悟った名無しさんはただ顔を赤くして俯くしかなかった
「名無しさん、」
「なに…」
「顔を上げてくれないか?」
急に寂しそうな声で話しかけられ、言われるがまま顔を上げれば優しく触れるだけのキスをされた
「なっ…!」
「お前がいつまでも下ばかり向いているのが悪い」
そう言ってまたニヤリと笑う平門は再び名無しさんの耳に唇を寄せ、わざと触れるように囁いた
「愛してるよ、名無しさん。一生離さない」