□真昼の月のように
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明け方、コンビニの前でバイクを停め
眠い目をこする

寝てる間に出てきた
携帯を取り出して連絡先を消す
当たり前のように自分のは教えてない

可愛かったけど一夜限りで十分だ

「はは、、さいてーだなあたし」

自嘲するように前髪をかきあげて店のドアを開ける

「あれ?」

すれ違うように出ようとした人影に見覚えがあった
反射的に肘をつかむ

「きゃ!!」

「松井さん?」

え?と上がった顔があたしに向く
でも「誰ですか?」とでも言いたそうな表情だ

「覚えてない?一昨日警察署前の交差点で、、」

「あ!駐停車禁止のチャラ男!!」

ちゃら、、

「あのさ、、思ってても言わないよね。普通」

「あ、、つい、、」

慌てて口を塞ぐ
なんなんだ、この人、、

「珠理奈だよ。」

「え?」

「あたし、松井珠理奈!免許証見た癖になんつう覚え方してくれてんの」

睨むあたしにゴメンナサイと素直に頭を下げる
なんだ、可愛いとこもあるんじゃん

「ここ、家近いの?」

「いや、別に、帰り道で」

離して欲しいのか肘を掴むあたしの手を見つめてる
もう少し話してみたいんだけどな

「送ろうか?」

「はい??」

あたしは思い立って提案する
だってさ、気づいちゃったから

「風、あたると気持ちいいよ?嫌なこととか吹っ飛ぶし」

おねぇさん目が赤い
たぶん、、泣いたあとだと思う

「、、、」

「ほら、いこ?」

手を引くと抵抗せずについてきた
家の方角を聞いて走り出す

(帰り道って、、歩ける距離じゃないじゃん)

何があったのか、、聞く気もないけど
これで落ちてくれれば楽だ
くらいにしか考えてない

ほんとに最低だな、あたし
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