DreamU.

□いちばん近く
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「はあ…」



今日もまた見てるだけ



毎朝電車が一緒で、私が乗ったふたつ先の駅で乗ってくる名無しさん先輩




いつもは隣に彩先輩と美優紀先輩もおって楽しそうに話してるんやけど、今日はひとりみたい




無邪気に笑う顔もきゅんてするけど、クールな横顔もかっこいい



「わっ」



…目合った



ぱちって目合ってもうた!



やば、顔熱い…っ



「いつも同じ電車やね」



「ふぇっ…?」



落ち着いた声が頭の上から降ってきて



見上げてみれば、そこには憧れのだいすきなその人で



「あははっ、なにその声笑 驚かせちゃった?」



って彩先輩とか美優紀先輩とかとおるときのような笑った顔



「……。」




「おーい」



目の前で手を振られてはっと気づく



あかん、見惚れてた



「あ、すいません…っ、」



「大丈夫?」



「はいっ、大丈夫です!」



「あっ、そうだ、名前教えてよ!な、ま、え!」



「…楓子、矢倉楓子ですっ」




「楓子ちゃんかあ…可愛い名前やね」




ふにゃってした笑顔にどきっとする




「名無しくん、名無しちゃん 名無しさんって言うねん、3年やから楓子ちゃんの1個上やね、リボン青やから2年生やろ?」



へへーんなんてどや顔も愛らしいなんて思ってしまう



自分が思ってる以上に重症なのかもしれん



全部知ってます



って敢えてそれは言わずに




「名無しさん先輩ですね!覚えておきます!」




覚えるもなにも毎日毎日頭から離れへんくらいやのに何言ってん自分




他愛もない会話をしながら学校までいっしょに行ってくれた



「あっ、今日日直やった!ごめん!」



って言って昇降口のとこでまたねってひらひら手を振って走ってってしまった
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