DreamU.

□いちばん近く
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「石田くん、なに読んでるの?」



「あ、これ?最近ハマったバトルマンガやねんけどな!めっちゃおもろいねん!」



「そうなんやあ、私も読んでみよっかな〜」







名無しさん先輩以外に目を向けてみることにした




他に好きな人をつくって忘れようっていう安易な考え




そうじゃないといつまでも私の中の名無しさん先輩は私を苦しめる





ガラッ



「え…っ」


勢いよく教室のドアが開いて入ってきたのは






名無しさん先輩








「なんで…っ、」



「ごめん楓子ちゃん借りてく」




名無しさん先輩は石田くんにそう言って私の手首を掴んでずんずんと進んでく





「…名無しさん先輩、どこ行くんですか?」





って何か尋ねてみても何も返してくれへん




怒ってるのかなあ




久しぶりやなあ



やっぱりかっこいい



華奢な背中



ショートカットから覗く綺麗なうなじ



私の手を引く少し骨張った腕



あー好きやなあ




なんでこんな好きなんやろ




どんなにクラスの男の子と話してみたって、遊んでみたってちっとも惹かれへん



なんでやねん




なんで先輩やなかったらダメやねん
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