DreamV.

□不器用
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屋上に出るための階段に2人で腰を下ろした




「そろそろさー、伝えたらどうなん?好きって」





「はっ!?そんなん無理に決まってる!…もう嫌われてんねんから」




ぼそぼそとそうつぶやく名無しさんはいつにもなく弱々しい





「んー、嫌われてはないやろ。ま、岸野とかはまじで犬猿の仲やと思ってるけど」





名無しさんはうーって唸りながら頭を抱えてる






「上西さ、意外とモテんねんで?早よしんとまじで手遅れになるよ?」





「…そんなんわかってる。でも、イマイチ踏み切れへんねん」





だってあんなに喧嘩ふっかけたらそら上西も名無しくんのこと嫌いになるよなーとかなんとかごにょごにょ言ってる





私の頭の中では





「ほんまは名無しちゃんのこと好きやねんけど、…どうしても名無しちゃんの前やと素直になれへんねん」




って照れくさそうに笑ういつかの上西が再生される





完全な両思いやのに、なんでもこうもうまくいかへんねやろ





「なぁ、彩」



「ん?」




「名無しくんもう脈なしなんかな」




小さい声で不安そうな顔で聞いてくる





「んーそうかもなー」




って冗談で答えれば



「っ、やっぱりそうやんな」




なんてわかりやすく肩を落とす




「あははっ!うそうそ!そんなわけないやろ、上西のあの態度は絶対名無しさんに気があるんやって」





「…ほ、ほんま?」





うるうるした目で私の顔を見上げてくる





おい、その顔上西に見せてやれ




一発だぞ





もう少し頑張ってみよっかな



って嬉しそうに呟く名無しさん




あーなんとも微笑ましい




お互いに不器用やけど、まっすぐな2人やから私は1番に2人を応援したいって思ってるんやで?






まー本当のこと言うと、ちょっともう焦れったい通り越して、半分呆れてるけどね笑








いつか近い未来、2人の想いがちゃんと通じ合いますように








end




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