日向坂 (短編)
□Maybe Addiction
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どうしよう
困ったことに
さらに謎が深まってしまった
出会ってから今まで散々ワケ分かんないことを言われ続けてきたけれど
それとは別格のぶっ飛んだ発言
だけど徐々に
ゆっくりと一人称の中に浸透してくるその事実
確かに拒まない理由なんて
もうそれ以外見つからない
けどやっぱり信じられない!
一人称が彼女のことを好き?
認められない
というか認めたくないその感情を否定するために
反論しようとしたんだけど
『それはその…でもさ、』
「実は今日のデート断られたら……センパイのこと、諦めるつもりだったんです」
まさかのタイミングで返ってきた
想定外な言葉
「私が高校生になってもう半年以上経ってるし…先輩が本当に迷惑だと思ってるなら、身を引く覚悟はしてました」
『…』
「だからあえてというか…先輩の気持ちを確かめたかったんです」
思わず納得してしまった
過度なアピールや密着の理由
「でも結果的に先輩は私を受け入れてくれたし…もう何があっても離しません//」
『うわっ、ちょっと…//』
そしてさらに腕に強くしがみつく
計算し尽くされた先にある純粋さが
ほんの少しだけど
今の一人称が求めている答えを教えてくれたような気がしてて
『そ…そんなに引っ付くと歩きにくいから//』
「あっ、ちょっとセンパイ!置いて行かないでくださいよー」
とはいえ少し先を歩いただけで
すぐにぶりっこ全開で追いかけてくる姿は
やっぱり素直に受け入れられなくて
一人称の想い描いてた恋愛ってこんなだっけ…?
ちょっと違うような…
それにさっきから続いてるマンガみたいな会話に
身体はムズムズしてて
「せっかくの初デートだし、芽実って呼んでほしいです!」
『え?』
「ほら、遠慮せずに」
『…やだよ』
「ダメです!先輩に拒否権なんてないんですから(笑)」
…
『め……っ、やっぱ無理だって!』
「もしかして……センパイ照れてます?」
『べっ、別に照れてないよ…///』
「可愛いところもあるんですね(笑)」
『うるさいな…///』
既に会話の内容は
完全にバカップルで
バレてる照れ隠しとか
小動物みたいに顔を覗き込む愛くるしさ
常に近い距離感も
腕に回された絶妙な力加減も
やっぱり恥ずかしすぎるけど
『だからくっつきすぎだって…もう少し離れてよ』
「…このままじゃダメですか?」
『ダメでは……ないけど』
「やった!じゃあ、帰るまでこのままがいいな//」
『……///』
それでも一人称は彼女の何かに
多分
惹かれちゃってるんだ…