日向坂 (短編)

□涙目ガールフレンド
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「ねぇ!ちょっと…名前?」

『…』






どうしてこんなことになったんだろ…



いきなり泣きそうです

















多分きっかけは数分前



授業が全て終わった教室で

仲良しの久美とお喋りしてたら

ふざけて私の体を触ってくる彼女


もちろん女の子同士だから変な意味とかなくて

カワイイ感じのタッチだったから…


そう思って気を抜いていたのがいけなかったのか


久美がふざけて制服越しに私の胸を触ってきたときに…




ちょっと…

あの、なんというか

恥ずかしい感じの声が出ちゃいまして…




しかもその声がなぜか教室に響いてしまってて

クラスメイトの視線がすごく痛くて





イタズラの張本人である久美も

テンパっちゃってフォローしてくれないし

こっちを見てる人たちの誤解をどうにかしたい気持ちはあるのに



沈黙が重すぎて何も言えないし…



本格的に教室の雰囲気がおかしくなってきて困っていると





『なにしてんの』






静かな空間に響いた声



声のするほうへ目をやると

名前がこっちを見ていて




ゆっくり近付いてきた






『なに、今の声』





人はいっぱいいるのに

ものすごく声が通る教室





その中で恐る恐る事情を説明すると




久美「いたっ!!」

「えっ…」




突然久美の頭をひっぱたいた名前




いきなり何やってんの!?



その思いが言葉になる前に

帰るぞって言われて…



私の手を引っ張って教室から連れ出した






あっ、

ちなみに名前は私の彼氏なんですけど






それにしても…

掴まれてる腕が痛い




学校を出てもずっと掴みっぱなしで

私のことはおかまいなしに早足で歩く名前



ここで冒頭のシーンに戻るんだけど





「ねぇ…っ、痛いよ…」

『…』





どうしよ

聞こえてないのかな

それにいつもみたいに歩幅を合わせてゆっくり歩いてくれないし…




目も見てくれない







「ねぇ、名前ってば!」

『…』





ようやく立ち止まってくれて

腕は解放されたけど



こっちをまったく見ないままの名前







もしかして






怒ってるのかな…
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