乃木坂 (短編)

□熱帯夜幸福論
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翌日


今日の仕事は午後からだから遅めの起床



身体を起こしてソファーを見ると

毛布にくるまって寝ている名前くん



なんか猫みたいでカワイイな…



傍に行き寝顔を見つめながら

昨日の自分の発言を思い出す




何であんなこと言っちゃったんだろ

面倒みてあげるなんて…




でも放っておけないって思ったし

気付いたら引き留めちゃってたんだよなぁ



もちろん彼にはちゃんと家族だっているし

どうにか連絡を取る方法だってない訳じゃない




でも

すぐにサヨナラは嫌だなって思ってる自分もいて




私、どうしちゃったんだろ…











そろそろ仕事に行く時間


だけど彼はまだ起きなくて

よっぽど疲れてたんだろうな





「…」

『…Zzz』





寝ている名前くんの傍にしゃがみこんで頭を撫でる





「…勝手に出ていっちゃダメだよ?」






きっと聞こえてないし

届いてないだろうけど

どうしてもそれだけは言いたくて

後ろ髪引くような綺麗な寝顔に




ゆっくりと背を向けた…










今日はメンバーと一緒の仕事で

雑誌の撮影とレギュラー番組の収録





名前くんのことが頭をよぎるけれど

仕事だからと頭を切り替える



そのおかげかどうかは分からないけど

撮影は予想してたよりも早く終わって

今はレギュラー番組の収録をするテレビ局へ移動中



次の収録で今日の仕事は終わりだし

時間が押さなければ早く帰れる





名前くん起きたかなぁ




もうすぐ夕方だし

さすがに起きてるよね…?




どうしよう

ちょっと不安になってきた



家に帰るといなくなってるんじゃないかって思っちゃう



結局昨日は私が無理矢理泊まらせた感じになっちゃったし

彼は申し訳なさそうな顔でソファーに寝転んでたから

目が覚めたら家を出ていこうとする可能性はあるよね…




あっ、書き置きとか残してくれば良かったのか!


勝手に出ていったらまなったんがずっきゅんしちゃうからね!とか…





…ちょっと違うか(笑)




とにかく心配だー

このご時世にケータイ持ってないっていうのは大きいなぁ…




あれこれ考えている間に

気付けばテレビ局に到着してて



移動車を降りて楽屋へ向かう私




とにかく仕事は仕事でしっかりやらないと…

今は集中しなきゃ!





そう意気込んで気持ちを切り替えたつもりだったけど




名前くんの寝顔は




頭の片隅にずっと残っていた…
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