乃木坂 (短編)

□#6.5「Little Lionheart」
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「今日も疲れたね…」

「もう何でもいいから食べないと倒れちゃうよぉー!」

「アンタはいつだって何かしら食べてるでしょ?」





相変わらず続く暑い夏


今日も厳しい練習を終えて

私、コテ、ショパンの3人で歩く帰り道



今はこの空腹を満たすために私の家でもあるもんじゃ焼き屋に向かっているところ

だけどあまりにも疲れすぎて

これ以上話す話題も浮かばない…





はぁ…






「そういえばさー、今年の夏祭りどうする?」




そんな中

唯一元気の残っていたコテがぼんやりと呟いた一言に

疲れがほんの少し和らいだ



この時期になると初森神社は浴衣を着た人でいっぱいになって

出店が並んで、

さらに花火も上がったりする…



いわゆる夏祭りが行われるんだけど



私とコテは昔から一緒に行くのが恒例になってて、

そこに去年転校してきたショパンも加わって。


もちろん今年も楽しみにしてたんだけど…





ショ「だけどその日、確か練習入ってるよね?」

「うん…大会の真っ最中だからしょうがないけど…」

コテ「そうなのー!?じゃあ今年は屋台巡りできないかぁ…(泣)」




悲しい現実にコテのテンションも急降下


大会でポラリスに勝つため

そしてはじまる公園を守るための練習とはいえ


高校最後の夏の楽しみがひとつもないっていうのはさすがに…






「あ…」

ショ「ななまる?」

コテ「どうしたの?急に立ち止まって」




それと同時に

彼と過ごせるあの時間も今年はおあずけになると気づいて

思わず声が出てしまった





「…ううん、なんでもない!
それより早く帰ってもんじゃ食べよ?」

「「…?」」




だけど何事もなかったかのように頭に浮かぶ存在をふりきって


目の前に近づいていた家の暖簾をくぐった私たち



だったんだけど…





「お母さん、ただい…ま」

『おっ、ななまる!おかえりー!』





想像もしてなかった


漫画のような展開と彼の笑顔に


私の胸は高鳴った…
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