乃木坂 (短編)

□熱帯夜幸福論
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「ふぅ…」







今日も仕事を終えて

自宅のマンションへ帰ってきた私




ほぼ毎日休みなしで大変だけど

やっぱりお仕事は楽しいから充実はしてる




でもそれと同時に癒しが足りないなぁとも思ってて




あまり表には出してないつもりだけど

身体も心もボロボロというか…



とは言ってもリフレッシュに旅行!

なんてすぐ行くの無理だし




マッサージでも行こうかなぁ…




色々考えてはみてるけど

なかなか良い案が思い浮かばなくて





そんなことを考えながら歩いていた時

視界に飛び込んできたのは




マンションのロビー手前で

座り込んで顔を伏せている人



服装から察するに若そうな感じだけど顔は見えなくて



それに何故か服が所々汚れてるし…



酔い潰れてるのかな?





ちょっと怪しいけど

横を通らないとエレベーターに乗れないから…




得体の知れないその人にビビりながらもおそるおそる近付くと






『…Zzz』






どうやら眠ってるみたい

となれば普通なら放っておくところなんだろうけど

何故か私は構ってしまって…






「あの…大丈夫ですか?」

『…』





起きない…





ほんのちょっとの好奇心で

体を揺さぶってみると






『…ぅぅ』






少し唸った後





顔を上げたその人









可愛い顔をしてる若い男の子

かなり中性的な感じで

メイクすれば女の子にも見えちゃいそうなくらい




それが第一印象



けれど何故かその幼い顔は





傷だらけだった





「ちょっと、ケガしてる…大丈夫!?」

『ぁ…見たことある人だ……確か…アイドルの……誰だっけ……(笑)』






そう言って微笑んだ彼は

再びゆっくり目を閉じた







「ちょ…ちょっと!こんなとこで寝ちゃだめだよ?おーい!」
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