Labyrinth to Rain (長編)
□purple of mayhem
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どれくらい
寝てたのかな
『…』
気づいたら
夜は終わってて
『…』
カーテンの隙間からは
夏の鼓動が高鳴るような
雨上がりの空が見えて
『…』
バカバカしくて
イライラするような
嫌な夢を
見た記憶がない
それだけでもう
いつもとは違う一日の始まりで
『…ん』
まだ少し
ボーっとするけど
『…はぁ』
深呼吸をして
ベッドに横たわった状態で
次に気づいたこと
気づいてしまったこと
「…Zzz」
『…』
…
『…なんで……腕枕…?』
一体
いつから
何がどうなって
こうなってるのか
まったく分からないけど
とにかく自分と同じように
ベッドに横たわった状態で
至近距離にも程がある腕枕の上に
背中合わせでいたはずの
幼い寝顔がちょこんと乗っていて
『えっ、と…』
当然
身に覚えのないこの状態に
身体はビクッとしてしまい
その振動が生み出してしまった連鎖反応か
彼女の眠りを妨げたみたいで
「…ぅん」
うっすらと
ぼんやりと
だけど確実に瞳は開いて
「……ん?」
『ぁ…ごめん』
とりあえず
原因不明な腕枕と
「…えっ//」
『たぶん起こした…よね』
自然な目覚めを
邪魔してしまったが故の気まずさを
寝起きの頭で
できる限りに冷静ぶって謝ってみたんだけど
…
「ぉ…はよ…//」
緊張してたはずの
一発目の返答は
照れを交えた
ぎこちない一言で
『…うん、おはよ…//』
不思議なことに
その後もお互い慌てたり
距離を取ったり
飛び起きたりするわけでもなく
『えっと……眠れた?』
「めっちゃ…寝た気がする…(笑)」
『…そっか//』
「…///」
すぐ傍で
一緒に眠って
一緒に朝を迎えただけなのに
変な高揚感が止まらなくて
「…ぁ//」
『ん?』
「腕に…よだれとか垂れてないかなって…//」
『多分…大丈夫だと思うよ(笑)』
きっとこれは
彼女のおかげなんだろうな
「…ぁ、やばっ…//」
『え…マジ?よだれ?』
当たり前だと思ってた
うんざりするほど長い
ありったけの夜は
いつの間にか終わってたから…