Labyrinth to Rain (長編)

□purple of mayhem
1ページ/4ページ











どれくらい



寝てたのかな










『…』










気づいたら



夜は終わってて





『…』





カーテンの隙間からは



夏の鼓動が高鳴るような



雨上がりの空が見えて





『…』





バカバカしくて



イライラするような



嫌な夢を



見た記憶がない





それだけでもう



いつもとは違う一日の始まりで






『…ん』





まだ少し



ボーっとするけど





『…はぁ』





深呼吸をして



ベッドに横たわった状態で



次に気づいたこと



気づいてしまったこと







「…Zzz」

『…』




















『…なんで……腕枕…?』





一体

いつから



何がどうなって

こうなってるのか



まったく分からないけど



とにかく自分と同じように

ベッドに横たわった状態で



至近距離にも程がある腕枕の上に

背中合わせでいたはずの

幼い寝顔がちょこんと乗っていて





『えっ、と…』





当然

身に覚えのないこの状態に

身体はビクッとしてしまい



その振動が生み出してしまった連鎖反応か

彼女の眠りを妨げたみたいで





「…ぅん」





うっすらと

ぼんやりと



だけど確実に瞳は開いて





「……ん?」

『ぁ…ごめん』





とりあえず

原因不明な腕枕と





「…えっ//」

『たぶん起こした…よね』





自然な目覚めを

邪魔してしまったが故の気まずさを



寝起きの頭で

できる限りに冷静ぶって謝ってみたんだけど





















「ぉ…はよ…//」





緊張してたはずの

一発目の返答は



照れを交えた

ぎこちない一言で





『…うん、おはよ…//』





不思議なことに

その後もお互い慌てたり

距離を取ったり

飛び起きたりするわけでもなく





『えっと……眠れた?』

「めっちゃ…寝た気がする…(笑)」

『…そっか//』

「…///」





すぐ傍で



一緒に眠って

一緒に朝を迎えただけなのに



変な高揚感が止まらなくて





「…ぁ//」

『ん?』

「腕に…よだれとか垂れてないかなって…//」

『多分…大丈夫だと思うよ(笑)』





きっとこれは



彼女のおかげなんだろうな





「…ぁ、やばっ…//」

『え…マジ?よだれ?』





当たり前だと思ってた



うんざりするほど長い





ありったけの夜は



いつの間にか終わってたから…
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ