Heartache and Love Feel Inch (長編)

□what happened
1ページ/6ページ











3月31日

深夜





『…』





一人称は今

カラオケボックスのトイレで



鏡をのぞいている





『…』





ちなみに言っておくけど

カッコつけて黄昏てるわけではない

だけど歌い疲れてるわけでもない





『…はぁ』





この不思議な状況に至るまでの流れを簡単に説明すると



1.仕事で忙しい両親と久しぶりに家族揃っての外食

2.酒に酔った両親のハイテンションに連れられボウリング

3.締めはやっぱりと言わんばかりのノリでカラオケにも強制参加





…で、今って感じ。





久しぶりすぎてすっかり忘れてた

うちの親が二人とも勝負事負けたくないタイプだという面倒くさい事実

ボウリングは超本気、カラオケもお互い全然マイク離さない





引いた。





今も一人称がトイレに抜け出したのも気づいてるかどうか…



まぁ、酒に酔ってるっていうのもあるんだろうけど

あの感じだと止めても時間ギリギリまで歌い続けるよなぁ

戻ったところで状況が変わるとも思えないし…





『…ふぅ』





外の空気でも吸うか…





気のせいか

重く感じるトイレの扉



そこに力強く手を押し当てて

店の外へと続く道を探そうと一歩踏み出した時










「苗字先輩?」







後ろから

ふいに聞いたことのある声

あわてて振り返るとそこにいたのは…





『…平手?』

「やっぱり!なにしてるんですか?」

『何って……カラオケ…だろ?』

「あっ、確かに(笑)」





平手友梨奈

一人称が通ってた中学の後輩

ちなみに今年の春から一人称は高2で、平手は中学3年生



お互いにバスケ部ってこともあり

体育館では毎日のように顔を合わせてた



特徴は、スラッとした身長とスタイルにショートカット

あとは…





『そっちこそどうしたんだよ、中学生がこんな時間に』

「私も家族でカラオケに…」





















『…どした?』

「今、私が迷子になってるとか思いました?」

『思ってない!てか中3で迷子ってなるもん!?』





大人っぽい見た目とのギャップというか

子どもらしい、ふわふわした一面もあって





「なんか…コントやってるみたいですね(笑)」

『どこがだよ!てか全然面白くないから!』







一言で言うと…





かわいい後輩って感じかな。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ