Duality (中編)

□Dreamless Heaven
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『…またこのパターンか』





自宅のベッドで

見上げる見慣れた天井



身体は思うように動かず

頭もかなりボーっとしてて





『どうなってんだよマジで…』





わずか一週間前に起こったあの出来事と酷似した展開に

苦笑いしか出てこなくて



顔面にボールが当たったり、無理やりオムライスを食べさせられたり散々だったけど

比較で言うとまだそっちのほうが良かったとさえ思えてしまう今の状態



理由はもちろん

一人称の大好きなあの人



小林由依さんが絡んでるからなんだけど…










「えっ…ライブ?」

『う、うん…良かったら、だけど…//』





遡ること三日

押しかけた隣の教室と彼女が座る廊下側の前から二番目の席



なぜかは分からないけど

あの日の放課後から少しご機嫌斜めだった彼女を

思いきってデートに誘った



というか、小林さんが前に好きだって話してた女性アーティストのライブのチケットがたまたま手に入ったから



この偶然を言い訳にして



また距離を縮めて行きたいな

なんて思いから生まれた小心的なお誘いだったんだけど





「えっ…めっちゃ行きたい…//」

『ほ、ほんとに!?』





出会ってから初めてってくらいに

目をキラキラさせながらそう言ってくれた彼女に

一人称の胸は当然のように煌めいて





『じゃ…じゃあ、これ…どうぞ//』





おそるおそる

手の震えが伝わらないようにと渡したチケット



それを受け取ってくれた時の表情が

今でも忘れられないくらいに輝いてて





「ありがと……すごく楽しみ//」





小動物的なルックスに

照れが混じってワケ分かんないくらいに可愛くて



その後で交わした約束までの72時間を



興奮しすぎて

眠りを忘れて

カウントダウン方式で



無意識に数えてしまったのが運の尽き



今日

待ち合わせ当日の朝



気づいたら喉が痛くて頭も痛い

完全なる体調不良を実感



これが転落していく



絶望的な休日の始まりだった…
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