Pink The Wire (?)

□Twilight
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成り行きで

繋いでたはずの手は





「…」





いつの間にか

離ればなれになってて





『あー腹へったー』

「…」





















「…さっきウチでご飯食べたよね?」

『あ、確かに(笑)』





全然

求めているわけでもない



知らないことだらけの朝は

まだまだ終わらないみたい





『でさ、ひかるの好きな食べ物ってなんなの?』

「えっ…なに、急に…」





あれから数分

相変わらずというか



未だに続いてる

隣を歩く彼との登校





『だって学校着くまで暇じゃん?色々知りたいなーと思って』





会話とか関係性は

出会った時から彼主導な感じ





「…主食はお菓子かな」





だけど

慣れっていうのは怖くて





『そんなのばっかり食べてると身体壊すぞー?』




出会ってから

まだ三日なのに





「…いいじゃん、お姉ちゃんだってお菓子めっちゃ食べるよ?」





自分のあれこれを話すことに対するためらいが

少しずつ失われてるような気がし始めてて





『由依さんは良いんだよ、一人称に朝食を恵んでくれた恩人だもん』

「全然理由になってないから…(笑)」





それに話せば話すほど

彼の不思議な部分が浮き彫りになるし





『おっ、あそこに駄菓子屋あるじゃん!』

「あ…ホントだ」

『遅刻ギリギリだったら見落とすとこだったな(笑)』

「確かに…(笑)」





ちょっとだけ

楽しいって感覚もあったり





『よし、放課後に寄って帰るか!』





















「…えっ、」





唐突な提案に

揺れ動かされるから





『ん?もしかして予定ある?』

「ぁ…いや、別に…」





良くも悪くも

飽きはしないかなって感じはしてて





『なら行こうよ!授業終わったら教室で待ってて?』

「わ、分かった…」





それに

何だか





「…//」





恥ずかしいって

思う瞬間が増えた気がする





『あー放課後楽しみだなー』





その理由っていうのは

いまいち良く分からないんだけど…





「そ…そうだね(笑)」





とりあえず

答えは先延ばしで



今をごまかして

一緒に歩いていようって





「ひかるー!」




そんな風に

なんとなく自分を納得させた直後





「…ん?」





どこからか

私の名前を呼ぶ声





「ひーかーるー!」





在りかを探した結果

間近になった学校の正門に





『…ん?誰だっけ、あの女子』





登校途中の生徒が吸い込まれていく見慣れた光景に

唯一抗う人物を発見して





「…まりな?」





波に乗らないまま

あっという間に私たちの目の前まで走って来た彼女





まりな「っ…おはよ、ひかる…」

「どうしたの、こんな朝から…」





見た感じ

何かしらの用があるんだろうけど

こんなに急いでまで来るなんて何事…?





まりな「はぁ…はぁ、っ、」





なんて疑問を抱きながらも

彼女の体力回復を待つこと数秒





まりな「ちょっ…ちょっと来て!」

「…へっ?」





ガシッと私の右腕を掴むと

そのまま走り出した友人





まりな「すみませーん!この子借りまーす!」

『あ…はーい(笑)』

「な…なに、どうしたの!?」

まりな「いいから着いてきて!大事な話!」





苗字くんのとまどいと苦笑いに

少し後ろ髪を引かれながらも



冷たい風を切り裂くような

語気を強めたその言葉に

意識と身体は引っ張られていった…
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