Pink The Wire (?)

□Pristine Blue
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昨日の違和感を

引きずったまま





「…」





いつもの定位置

公園のブランコに座って





「…」





代わり映えしない景色を

ぼんやり眺める朝





「…はぁ」





肌寒い日も

まだまだ続くみたいだし



雪でも降るのかと思うくらいに

鼠色をした空が嫌にもなるけど





















「…おっそい」





それ以上に

相変わらず

全然やって来ない名前にもムカつくというか…





「…」





それに

出所のよく分からない



モヤモヤしてイライラするこの感覚にも

いい加減消えてほしいんだけど…







「…」





すぐ頭に浮かんで

気持ちを沈めてくる



昨日の

葵と一緒に巻き込まれた

ファミレスでのワンシーン





『ちょっとそのへん探してくるわ…あいつ、この辺り詳しくないと思うから』





前触れもなく

姿を消した友香ちゃんを探しに行った





『じゃーな』





ためらいもなく私に背中を向けた

名前の後ろ姿





「…」





















「でも…なんでだろう……」





冷静になって考えてみても

ちょっと見当がつかなくて



どうしてそのシーンのことばかり

覚えてるんだろうって感じで…





「意味分かんない…」





いつまでも引きずってる

自分の思考も子どもっぽくて嫌になりそう





「はぁ…」
































「…気にしないで良いってことか」





悩んでいた割には

あっさり出した結論に



結局はその程度の問題だったのかもって

落とし所を見つけた直後





「ん?」





制服の右ポケットから

揺れて伝わる振動





「…誰だろ」





こんな朝から私に連絡してくる人って

葵ぐらいしか思い浮かばないけど…



なんて大雑把な予想を立てながらも

取り出したスマホの画面に表示されてたのは





「…名前?」





未だにやってこない

世話の焼ける幼なじみからの連絡で



予想が外れたことにも驚きだけど

おまけにその内容もなかなかの衝撃で





「なんか風邪っぽいから、今日は学校休む……?」





















「は?」





まず最初に

抱いた苛立ち



これだけ待たせたくせに

来ないとかありえないんだけど…





「ホント最悪…」





















でも

ちょっとずつ





「…」





一応

心配にもなってくるというか





「…」





名前は寝坊した時

いつも素直に言ってくるから

体調が悪いのは嘘じゃなさそうだし…





「…」





様子

見に行こうかな



なんて考えが

一瞬頭に浮かんだけど





















昨日のことが

ふいに蘇ってきて





「…」





ちょっとだけ

ためらってるその隙に



さっきの選択肢も

選ぶ余裕はなくなって





















「…やめとこ」





了解って文字だけ打ち込んで

またポケットにしまうと





「これは…葵にあげればいっか」





お弁当もカバンにしまって

ブランコから降りた私は





「さてと…」





通学路を

歩き始めた





「…」





















「…」





ほんの少し残る

足取りの重さは感じながら。
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