Pink The Wire (?)
□Call My Name
1ページ/4ページ
いったい
どこからどこまでを
後悔と呼べばいいんだろう
「…」
あれから
一週間が経って
はぶ「んー今日も良い天気だー」
「…」
いつも通り
昼休みを一緒に過ごす
私たちのルーティーンも始まって
はぶ「屋上、意外と冬でも居心地いいねー」
「…」
穏やかな時間が
ゆっくり流れる日常は
ありがちだけど
かけがえのないもので
…
はぶ「由依?」
「…えっ、」
そういう類いの
幸せだったはずなのに
はぶ「大丈夫?なんか最近…元気ないように見えるけど」
暖かい
優しい笑顔を曇らせて
「あ…ごめん」
冷たい
冬の風を呼び込んでるのは
「そんなつもりはなかったんだけど…変、かな…(笑)」
間違いなく
微笑み下手で不器用な私
はぶ「うーん…そうだねぇ」
「…」
…
はぶ「うん!変だと思う(笑)」
…
「…んっ?」
だけど
この捻れそうな空気を
はぶ「まぁ、でも色々あるよねー」
「…」
そっと自然に
いとも簡単に
元通りにしてくれるのも
はぶ「俺で良かったら聞くから、何でも話して?」
一番
心あたりがないはずの
迷惑をかけてるはずの彼で
「…ありがと//」
やっぱり
何気なくでも
はぶ「でも女の子ならではの悩みって俺にも分かるかなぁ…」
「…その場合は……多分あてにしないと思うけど」
はぶ「えっ、それはそれでショック(笑)」
そっと救ってくれる
この優しさが好きなんだって思う
「ふふっ…(笑)」
…
だけど
澄んだはずの心は
「…」
一瞬で
ガラス細工みたいに
形をいびつにしていく
はぶ「とりあえず弁当食べよっか?」
「…っ、そう…だね(笑)」
まるで
こっちがオリジナルみたい
ガチャ…
そんな濁りを
苦笑いでそよがせていると
はぶ「あれ?誰か来た?」
ふいに
屋上の扉が開いて
『はぁ…やっと一服出来る』
…
「…」
現れたのは
感情を振り乱してる
元凶のような気がする人
すがい「ちょ…ちょっと!苗字くん!」
そして
もうひとり
『ん?』
すがい「ダメだよ!学校にこんなの持ってきちゃ…」
彼の至福と休息を
咥えた途端に奪い取る
はぶ「あれ?ゆっかーじゃん!」
すがい「えっ…土生くん!?」
例の彼と
私の彼と知り合いらしい女子の姿に
『…あ、』
また始まる
胸騒ぎの予感に
「……どうも」
痛々しいくらいの
風の音が聴こえた。