アイドル部って、なに? (長編)

□TAKEOVER
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アイドル部の部室で


生田さんと謎の関西弁女子高生が口を揃えて言い放ったアレという言葉



それが何なのか教えてもらう暇もないまま

そそくさと部室から移動を始めたアイドルたち


状況が理解できないながらもとりあえず後を着いていくその道中


再び始まった幼馴染みとの会話なんだけど…








みなみ「ねぇー、アレってなんなの?」

『だからさっきから言ってんだろ…一人称も知らないんだよ』







本当に昔から人の話聞かないよな、みなみって



性格もマイペースな上に適当だし



その証拠に聞きそびれてたアイドル部に入った理由を聞いても






みなみ「わかんなーい…なんでだろ」






こんな感じのふわふわ解答が返ってくる

らしいといえばらしいんだけど…






『つーかあの関西弁の人はなんなの?一人称いきなりパンチ喰らったんだけど』

みなみ「まっつんのこと?いつもあんな感じだよ」






いつもあんな感じって…

普段どんな生活してんだよ






とは思いつつも冷静になって話を聞いてみると



名前は松村沙友理さんというらしく

生田さんたちと同じ2年生で白鳥女子学院アイドル部の部長


にもかかわらず自分のことを13歳のりんご姫(?)とか言い張ってて

アイドルなのになぜかさゆりんごパンチという必殺技を持っているとか……






まさに意味不明








みなみ「他にも色んな子いるよ?目からビーム出す子もいるし、マネージャーはアイドルオタクだし…」

『…』

みなみ「あと次世代エースって呼ばれてる子もいるー」

『…それってみなみのことじゃないの?』

みなみ「一応そうなんだけど、もうひとりいるんだよね」

『へぇ、どんな子なの?』

みなみ「どんなって……そんな感じ」







適当な口調で

人差し指を一人称がいるほうに向けてくるみなみ



それをかわして指先の行方を辿ってみると

いつの間にそこにいたのか

一人称の隣に白い制服の美少女が立っていて








「…どうも」

『あ…どうも』

「齋藤です…よろしく」

『こちらこそ…苗字です』



















いや暗いな!

美少女なのになぜそんなに暗い!?

てか存在感なさすぎて隣にいたの気づかなかったんだけど!

そして何より顔ちっさ!!




ツッコミどころ満載な

もうひとりの次世代エース



名前は齋藤飛鳥ちゃんというらしく



彼女も一人称たちと同い年みたいなんだけど







『あの…何て呼べばいいですか?』

飛鳥「別に何でも…特にこだわりもないので」

『じゃあ……飛鳥ちゃん、とか?』

飛鳥「あ、それで大丈夫です」

『…』





若々しくないというか

落ち着いてるというか


加えて若干感じる負のオーラが少し気になって







『…ご趣味は?』

飛鳥「…読書ですかね」

『…次世代エースって言われてるんだよね?』

飛鳥「まぁ、一応……本意ではないですけど」







俯きながら発するその言葉を聞いて納得

みなみとタイプは違うけど

彼女もどうやらその称号は気に入ってないらしい


おまけに独特な暗さも持ち合わせてるし…





どこの学校もアイドル部の人間は変な人ばっかりか


むしろ乃奇学メンバーのほうがまだマシかもしれないな



なんてことを考えながら

隣を歩いていたもう一人のメンバーに声をかけたんだけど





『聞いてた?白鳥女子学院かなりヤバいみたいだよ…』

堀「…」





何故か反応がない

こっち見てるし目も合ってるんだけどな…






堀「見たよ、チャラ男疑惑の決定的な証拠」

『…は?』






すると突然言われた予想だにしない言葉


そういえばこの人も松村って人に負けず劣らずの変人だったな…




てか一人称のチャラ男疑惑まだ続いてたの?






堀「今度はもうひとりの次世代エースに声かけまくってたって報告しないと(笑)」






おまけに何か嬉しそうだし…

つーか別にかけまくってないから!






『だってそれは、みなみに紹介されたからさ…』

堀「しかも出会ってすぐ呼び捨てとか……引くわ」

『ちげーし!幼馴染みだからだよ!』








一人称たち


いつになったら話が噛み合うんだろう…
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