ななせまるの憂鬱 (中編)

□循環
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「ほんっとにもぉ、なーんで名前ばっかり!
うらやましすぎるぅぅぅ…」

「生駒、顔ヤバイよ(笑)」







大学の隅に設置されてあるテニスコート


その少し離れたところにあるベンチに座ってる一人称と

一人称の背中に密着する友人



それを見て騒いでるのは

このテニスサークルで出会った仲間の生駒と玲香



この体勢でいると生駒は一人称のことを妬むようなオーラを放ってて

それを見て玲香は呆れてるっていうのがよくある光景



言っておくけど

一人称は別に好んでこの体勢なワケではない





ただ…










『七瀬』

「ん?」

『その…もう一時間くらいくっついてるよな?』









これが彼女の定位置で落ち着くらしいから

軽く注意するだけにとどまってて








「けど名前イイ匂いするから…このままでいい」

『…』








いこ「うぉおぉー!!なぁちゃんにあんなこと言われたら…うちは…///」

れいか「だからさっきから顔!それにその発言色々と危ないよ…」







生駒

確かにヤバい顔してる


でも一人称的にはそのままにしといてくれた方がありがたい


七瀬の注意がそっちにいくかもしれないし



彼女のことは決して嫌いではない

むしろ友人としては好き


でもこうやって密着してるせいで勘違いもされるから

それにはちょっと困ってたりもして…












きっかけは入学式


全国に存在する数えきれないほどの大学

高校時代にそんな中から選び抜き

一人で飛び込んだ知らない人だらけの都会のキャンパス







のハズだったんだけど






隣に座っていたのは高校の同級生

当時は共通の友人がいる顔見知り程度の間柄だったんだけど


偶然にも同じ大学、同じ学科だったみたいで



しかも彼女は極度の人見知り



となれば当然一人称は彼女にとって必要不可欠な存在になってしまうワケで



最初の頃は常に一緒に行動してたっけ…




そのおかげで呼び捨てにしあったり

気を使わなくて済むほどに距離は縮まったんだけど



とはいえ一人称も彼女も人見知りなことには悩んでいたから

どうにかするために一緒にこのテニスサークルに入って…




今となってはそこにいる二人のような気心の知れる友人も増えて

少しずつだけど人見知りも解消されつつあるんだけど


親しい人に密着する癖は抜けないみたいで



それが今の悩みなんだって話を生駒にしたら思いっきり頭を叩かれたんだけど…


















なんか

背中がやけに静かな気がする







『七瀬?』





















「…Zzz」

『いつの間に寝たんだよ…(笑)』








まぁ…








いっか。
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