ななせまるの憂鬱 (中編)
□Smells Like Purple Wind
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あれから
一ヶ月
生まれた心の隙間
それを噛み締めてる間に夏は過ぎて
暑い日が続かなくなって心底よかったと思いながらも
ふと思い出すのは海に行ったことや空港での出来事で
あれがなければ考えもしなかった
今の一人称を支えてくれてるのはいつもの仲間と
傍にいてほしいって思えた君の存在だなんて
素直にそう思えてること
本当に感謝してる
…してるんだけど。
れいか「おー!わかちゅストライクー!」
いこ「なぬー!?生駒ちゃんより先に出すとは…」
わか「もうだいぶ終盤だけどね(笑)」
『…』
なぜ
ボウリングなんだ
夏の終わりと
人との繋がりをしみじみと噛みしめたいこのタイミングで
『…あのさ、生駒』
いこ「なに!?次うちの番なんだけど!集中させてっ!」
『…』
ワケを聞こうとしても
生駒はいつも通りこの感じだし
れいか「わかちゅストライクかっこよかったよぉ!」
わか「じゃあ、次も出たらご褒美ちょうだい?」
れいか「えっ、ご褒美って…どうしよっかなぁ///」
『…』
この二人は相変わらず
安定の恥ずかしい絡みを見せつけてくる
一ヶ月ぶりに集まってみても
本当にみんな何も変わらなくて
戸惑っているのは
多分一人称だけ
その証拠に…
れいか「あ、次なぁちゃんの番だよ」
なな「どうしよ…またガーターかも」
いこ「いけー!なぁーちゃーん!!」
『…』
フランスから帰ってきた
君の瞳を
まだ…
まっすぐに見つめられない。