乃木坂 (短編)

□#6.5「Little Lionheart」
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「名前、来てたんだね…」

『急にここのもんじゃ食べたくなってさ!
おっ、コテにショパンちゃんも一緒?』

コテ「あー!名前のジャマイカもんじゃバケツに入ってるー!」

ショ「それよりショパンちゃんってやめてよ…恥ずかしいから//」

『だって知り合った頃からそう呼んじゃってるし、なんか慣れちゃって(笑)』

コテ「そんなことより!おばちゃんジャマイカもんじゃバケツってありなのー!?」

「…」





私たち3人と慣れた会話を交わしつつ

制服のカッターシャツを腕まくりして

バケツいっぱいに入ったもんじゃ焼きを鉄板の上に広げている高校生



名前は苗字名前




彼も私たちと同い年で

小さい頃からの友達


はじまる公園で初めて出会って、

それからよく遊ぶようになって…




その流れで小・中学校は同じところに通ってたんだけど

高校生になって名前は男子校、

私は女子校に進学したこともあって最近はそんなに会えなくて。


それでもこうやってうちにもんじゃを食べに来てくれたり、

さっき言ってた夏祭りには毎年誘ってくれたりで付かず離れずではあるけれど



自然で

不思議で



だけどずっと繋がってる関係




だからこそ毎年恒例の夏祭りに行けないのが残念で…





『…る、ななまる?』




そんなことを考えていると

まさにその彼がテーブルを挟んで話しかけてきていて




「あ、ごめん…何?」

『いや、今年は夏祭り行けないかもってコテが言ってんだけどマジなの?』

「うん…ソフトの練習で忙しくて」

『そっか…けど公園守るためだもんなぁ』

「…ごめん」

『いいって!そっちのほうが大切だし、祭りは来年だって行けるから気にすんなよ?
なっ、コテ!』

コテ「おばちゃん、アタシもジャマイカもんじゃバケツでー!」

『こいつ全然聞いてねぇな…(笑)』


「…」







ほんの数秒





そう言いながら呆れたように笑う名前の顔を




無意識に




見つめていることに気づいた





「…//」





なんだか恥ずかしくて

思わず熱い鉄板に視線を落としたけど



こういうこと

会えなくなってから増えた気がする



いつからだっけ


知り合ったあの頃みたいに

自然に話せない





どうして…?
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