乃木坂 (短編)
□13 new qualia
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『…男女ペアで映画を見るのが条件の割引チケット?』
みおな「うん、だから名前しかいないってこと」
未央奈が自慢げに見せつけてくる
二枚の紙切れに隠されてた秘密
確かにそれならしょうがないけど…
だけど何で映画?
別に今日見たい気分でもないし
祐希と二人なのが嫌なワケではないけど…
未だにこの現状に不自然さを感じながらブツブツ呟いていると
みおな「とにかく名前が与田ちゃんを誘って、二人で行くこと!」
あすか「チケット二人で割勘して買ったんだからな、無駄にするなよー」
『ちょ…待てっ、おい!』
…
一人称の反論を受け止める間もなく
一言ずつ言葉を残すと教室から出ていった二人
その後しばらくすると
二人が出ていった反対側から祐希が教室に戻ってきて
「あれっ、二人は?」
『あぁ…えっと、ジュース買いに行った』
「そうなんや、ゆうきの分も買ってきてくれるんかな(笑)」
『さ、さぁ…どうだろ』
適当すぎるウソと言葉をつないで
間を持たせようとする一人称
なんかよく分かんないけど焦ってる…
だって飛鳥が言ってた言葉…
二人で割勘してまで買ったチケットなんだよな、これ
仲良い祐希の様子が変だからって
きっと心配して準備したんだろうな
『…』
「名前?」
それに付き添いが一人称って勝手に決められてはいたけど
確かに仲良いっていう自覚はあるし
ある意味大役を任されたって捉えると
そう簡単にムダにはできないよな…
「大丈夫…?」
それにイイやつなんだよな、祐希って
毎日のようにボケてるしドジってるけど
基本的には優しくて
今だって一人称が黙ってると心配そうな顔してるし…
…
『あの…さ、』
「ん?」
しょうがないか
『今日の放課後さ……映画行かない?』