Labyrinth to Rain (長編)

□暗い部屋 明るい人
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間違いない

やっぱり昨日一人称が傘を渡した子だ

何でこんなところに…





なんて戸惑ってる間にも

彼女は四方八方から男子に声をかけられてて

咄嗟に群がっていく男子を払いのけて

最前のポジションを陣取ったんだけど




『なにしてんの』

「いや、だから借りた傘を返しにですね…」







『…』

「…」









「あー、いたー!!」

『…声でかい』

「全然見つからないからさぁ、帰っちゃってたらどうしようとか思ってたんだよー!
いやー、会えて良かった!」

『…』





昨日と変わらず

安定して変な人



育ちの良さそうな見た目とはいい意味で違う明るさがあるというか、

おまけに天然なのか周りの状況全然把握してないっぽいし…




つーか何でここにいるんだ?

マジで傘を返すためだけにここに来たのか?



テンション高めな彼女にそのことを問い詰めようとしたんだけど







「あれって苗字だよな?あの可愛い子、まさかあいつの彼女!?」

「なら友達紹介してもらえないか聞いてみるか?」





タイミング悪く聞こえてきた

男子高ならではの嘆き

このままだと一人称も面倒なことに巻き込まれる可能性が…

















しょうがないか







『ちょっと、手かして』

「手?」





一人称の言葉に不思議そうな顔をしながらも

差し出された掌


離さないように強く握る






「えっ…//」

『走るぞ』









「…はい?」








それだけ伝えると

男の群れをかき分けて走り出した一人称たち





「うおぉっ…なんで走るのー!?」

『いいから、とりあえず全力で走れ!』







彼女の手を握って

ただひたすらどこかへ向かうだけ




まさに必死というか

夢中というか





覚えているのは





何年ぶりか分からない

全速力のダッシュと






頬をつたって

汗が流れて落ちていく





ほんの少しだけ






清々しい感覚だった…
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