Labyrinth to Rain (長編)
□XYZ
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「すいません、本当いきなりで…」
さっきは何事かと思って身構えたけど
とりあえず相手が誰なのかってことは判明した
『初対面…ですよね』
「そうです…//」
若月佑美さん
玲香の親友
通ってる女子高が同じで
色々と相談してるって話は聞いてたから存在は知ってたんだけど
会ったことはない
『…』
「…」
おかげで会話が途切れる度に気まずさは押し寄せてきてて
さらには二人で話したいって真剣な表情で頼まれたこともあり
店の奥にある見通しの悪いテーブルに座ってるんだけど
『話したいことって…玲香だよね?』
完全初対面の一人称たち
話すことと言えばそれしかなくて
念のためおそるおそる聞いたその質問に
目の前の彼女も頷いてくれて
『何かあったんですか?』
だけど安易に続けたその言葉で
表情が少し強ばった
「…私から質問していいですか」
『…?』
もしかしてバイト3日連続で休んでることと関係あるかもとか
一人称には言ってないけど実は体調崩してるとか
ゆっくり進行する話の隙間に
ネガティブな推測を立てていたけれど
「苗字さん、浮気してませんか?」
…
『浮気?』
聞こえてきた言葉は予想を遥かに越えていて
「してますよね…?」
さっきより疑いが若干強く出た言葉に
不満以外の感情は存在しなくて
とりあえずその発言に至った経緯を聞いてみると
どうやら生田さんをこの店に初めて連れてきた日
彼女もここにいたみたいで
二人で店を出るところを見て怪しいと思ったらしいんだけど
『それはあの子がこの辺に詳しくなくて、道に迷うといけないから…』
「だけどこの間、玲香が引き止めたのに付いていったんですよね?」
『様子がおかしくて…ちょっと、気になったから』
不思議と生まれる少しの間隔
言い訳のように聞こえなくもないけど
やましい感情は持ち合わせていないから余計に厄介で
「私がこんなこと言うのも変ですけど…」
そんな中で突きつけられた
大きな不信感
「玲香のこと、本当に好きなんですか?」