欅坂 (短編)

□Diamonds
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足に当たって

止まったボール



駆け足で近づいてきた人は

それを拾うと視線を合わせて





『一緒にやる?サッカー』





いきなり誘う

不思議な人で





「あ…大丈夫…です」





断って

終わりかなって思ったのに





『そっか、何歳?』





手に取ったボールは抱えたまま

なぜか隣に座る





「……18」

『マジ?同い年じゃん!』





なぜか素直に答える私

なぜか興奮気味の人



出会いは

奇妙な偶然だった















それから

その人とは

毎日のように会った





『へぇ、絵描くの好きなんだ?』

「…まぁ」





いつものように

昼下がり



賑やかだけど

居心地は悪くなかった





『どんな絵描いてるの?』

「…動物とか、色々」





聞かれることに対して

答えるだけだけど

悪くなかった





『その絵、見せてよ!』





期待が

眩しかった















翌日

彼に絵を見せた





『…上手すぎない?』





どうやら

驚いてるみたい





「そう…なのかな」

『マジで凄いよ!こんなに上手い人初めて会った!』





私の描く絵を

気に入ってくれたみたい





『これはサイでしょ?こっちは?』

「ハシビロコウっていう…鳥」

『ふーん、動物とか詳しいんだね』

「…別に…//」





ちょっと

思い出した



嬉しいって

こういう感情か





『てか…絵と全然関係ないけどさ』

「…っ//」





見つめられて

驚いて







『目…めっちゃ大きくて綺麗だね』







へばりつくような

あの痛みとは違う



胸が

苦しくなる



初めての

知らない感情に出会った。
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