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□たたかえ!ちょうさ兵団!
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※単行本10巻に載っている11巻の偽予告、「たたかえ!ちょうさ兵団」ネタ
※現代パロにしてみました







やつらが空からやってきたのは、まるで今日のような、雲一つない快晴の日だった。

その日、幼馴染のミカサ、アルミンと一緒に街に繰り出していたエレンは、突如降り立った、高層ビルよりでかいやつらと初対面を果たしたのだ。

―――奴らの目的はただ一つ。

人類を支配し、地球を乗っ取ることだ。

破壊の限りを尽くし、人類に降伏を求めるやつらの事を、自分たちは『巨人』、と呼んだ。

安直に、姿かたちが人間と似ていたため、そう名付けられたのだ。

正義感の人一倍強いエレン・イェーガーは、その時決意した。


「やつらを一匹の残らず、駆逐してやる!!!」


『ちょうさ兵団』誕生のきっかけである。


《注》ちょうさ兵団とは、国際的天才女性科学者と名高い、ハンジ・ゾエが作った、巨人対抗チームである。


小難しい話を略すと、エレンたちは《選ばれし者》、らしい(ハンジ談)

まぁ諸々を端折ると、ハンジが開発した、「チョー強くなる立体起動装置!!」、に適合したメンバーが選ばれ、日々巨人たちと戦い、人々をやつらから守っている。

現在の団員は、エレン、ミカサ、アルミン、クリスタ、コニー、の5人だ。

今日、この5人は、司令官であるハンジの呼びかけにより、召集されていた。


今日は、巨人警報(ハンジ作)も鳴っていない。


何事だろうかと首をかしげながらエレンが本拠地に到着すると、すでに他のメンバーは席についていた。

ちょうさ兵団の本拠地は、ハンジが研究室として使っているラボの一角にある。

部屋の大半を占める、大きな丸テーブルは、ハンジが用意したもので、人数分の椅子が置かれている。

エレンが部屋に入ると、お誕生日席に腰かけていたハンジが、肘をつきながらにっこりと微笑んで、エレンを手招きした。

「どうも……」

軽く会釈をしながら、定位置である、ハンジの右隣に腰かけた。
それに満足げに頷くと、ハンジは立ち上がり、全員の顔を見渡した。

「みんな、よく集まってくれたね!今日みんなに来てもらったのは他でもない、みんなに、自分のカラーを決めてもらうためだよ!」

「……カラー??」

そう呟いたのは、ちょうさ兵団のおバカ担当、コニーだ。
ハンジの眼鏡が、キランと光る。

「そう!!何でも巷では、正義の味方は、みんなそれぞれのカラーを持っているらしいんだよ!!レッドとか!ブルーとか!!」

「……はぁ、」

ぽかんと頷いたのは、ちょうさ兵団の花形、クリスタである。
ミカサも一応女子なのだが、いかんせん、ちょうさ兵団の最強戦力を誇っているため、あまり女子扱いを受けない。

「……わたしは、エレンと同じなら何でもいい」

ついでに、このように、常に世界の中心にエレンを置いている。

「おいミカサ、やめろってそういうの」

「し、しかしハンジさん、その……、カラー?、を決めることに、どんな意味があるのでしょうか」

もっともな意見を述べたのは、ちょうさ兵団のブレーン、アルミンだ。
美少年である。

「ふっふっふ、よく聞いてくれた!!なんと、カラーを決めることで、正義の味方たちは、個性を出しているらしいんだよ!!」

「個性、ですか……??」

「今日のところは、分かりやすいようにパワーポイントにまとめてみたよ」

言うが早いか、天井からウィーン、と降りてきた真っ白なスクリーンに、画像が映し出された。

■レッド→熱血系、リーダー
■ブルー→リーダーのライバル、クール、二枚目
■ピンク→女の子、花形
■イエロー→コミカルな三枚目
■グリーン→若者、新人的な

「……とまぁ、このように、それぞれの個性を表している場合が多いんだよ。
普段顔を隠している正義の味方の、唯一のアイデンティティではないかと、私は考えているんだけどね。」

「はぁ……」

「まぁぶっちゃけ、みんな同じモスグリーンにしちゃったせいで、変身すると見分けがつかないんだよね、私が」


―――あぁそうですか。

もう誰も、何も言わなかった。


「しっかしそうなると、何色にするか迷うなー」

頬杖をつきながらスクリーンを見つめていたコニーが呟く。

「コニー、お前はどう考えたってイエローだろ」

思わずエレンが呟くと、エレンの隣にいたコニーがバッと振り向いた。

「はぁっ!?、なんでだよ!!」

「なんでって……」

はまり役だろう。

「エレン、お前こそイエローでいいだろが!」

「はぁっ!?」

それこそ聞き捨てならない。

自分をどう捉えたら、三枚目キャラになるというのか。

二人の間に漂い始めた険悪な雰囲気に、平和主義者のアルミンとクリスタがおろおろしている。

「俺はどっちかというとレッドだろ!!」

「はっ!!自分でリーダーだとか思っちゃってたわけかよ、エレンは」

鼻で笑われて、思わず顔が赤くなった。

まぁ、遠からず、それに近しいことは考えていた。

「だ、だってみんなで力を合わせて巨大化するとき、俺にパワー集めるじゃんか」

「そうそう、そうしてほぼマッパの状態で巨人を倒すんだよな―――!」

「っ……」

気にしていたことを突かれ、エレンは可愛そうなほど真っ赤になった。
大きな瞳には、うっすらと涙の幕が張っている。

それを見ていたミカサの怒りが、ついに頂点に達した。

「このなんちゃって野球小僧が……」

そう言って立ち上がると、さすがのコニーも分が悪いと思ったのか、顔を青くした。

「わ、悪い悪い、言い過ぎたって!!……あ―――!!、そ、そういうミカサは、何色がいいんだよっ」

ピタリ、とミカサの動きが止まる。

「わたし……?」

「そうそう!!」

呟くと、スクリーンをじっと見つめる。









「…………ピンク」







絶対ブルーだろ!!!!、とは、誰も言わなかった。


end


結局、ハンジさんの独断と偏見により、
■レッド→エレン
■ブルー→ミカサ
■ピンク→クリスタ
■イエロー→コニー
■グリーン→アルミン
にちゃんと決まりました。

理由は、『私が覚えやすいから』、だそうです。

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