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□読書をしましょう
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「はぁ……」


壁に掛けられた時計を見て、エレンはため息をついた。

「もう3時間か……」


ちらりと視線を巡らせた先には、うず高く積まれた本がある。

さらに、手元に視線を落とせば、そこにも一冊、分厚い本があった。

エレンなりに一生懸命読んだつもりなのだが、その成果は少ない。

もう一度時計を見る。

「そろそろ夕飯時か…」

窓から差し込む陽も、大分陰ってきた。

おそらく、もう少しであの人がやってくる。

この本を積んだ張本人でもある彼は、この埃っぽい書庫の臭いが気にくわなかったらしい。

エレンに課題を言い渡すと、さっさと部屋を出ていってしまった。

彼は、「3日だ」、と言っていた。

条件反射で「はい」、と答えたものの、このペースでは確実に終わらない。

かといって、「出来ません」、なんて口が裂けても言えないエレンは、持っていた本を投げ出すと、机に突っ伏した。

視界を塞ぐのは、本、本、本。

再び、深いため息が漏れた。

「こんなに読めるわけねぇーよな……」

エレンの力ない声が、掠れて消えた。






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