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□読書をしましょう
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そもそも、エレンが何故このような状況に陥ったのかというと、話は半日前まで遡る。
「巨人化したときの戦闘シミュレーションをしよう」
そうエレンに声を掛けたのは、エルヴィン団長だった。
兵長に朝のコーヒーを淹れていたエレンは、ぱちくりと瞬きを返した。
兵長はいつも通り、さして興味もなさそうに、出されたコーヒーを啜っていた。
団長いわく、
「君の、咄嗟の判断力を知りたい」
ということで。
会議室に連れてこられたエレンは、そこで、様々な状況を想定し、それぞれどう動くかを考えさせられた。
エレンが巨人化すれば、少なからず、自己判断で動かなければならない場面がやってくる。
最初こそ、団長の提案に戸惑っていたエレンだったが、真剣に1つ1つの質問に答えていった。
のに。
結果はいわずもがなであった。
後ろで見ていた兵長の青筋が立つくらいには、散々であった。
団長は、「気にしなくていい」、と言っていたが、明らかに苦笑いをしていた。
その後、消沈するエレンの首根っこを掴んで、静かに怒る兵長が連れてきた先が、今現在、エレンがいる、この図書室だった。
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