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□読書をしましょう
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旧調査兵団本部に存在する図書室には、一般市民には禁書とされる書籍がたくさん貯蔵されている。
大変価値のある本ばかりなのだが、利用する団員は少ない。
おそらく要因は、この臭いだろう。
兵長ほどではないにしろ、誰だって、埃の臭いが染みついたここに長居したいとは思わないはずである。
「ふう……っ」
むくりと身体を起こすと、エレンは両手で頬をペチンと叩いた。
気持ちを切り替えて、もう一度手元の本に向かう。
今エレンが読んでいるのは、「兵法」、というものについての本だ。
「過去から学べ」、というのが、兵長の考えらしい。
埃を被った本を掴むのは心底嫌そうだったが、それでも、有難迷惑な量の本を選んでくれた。
そうまでして、兵長が選んでくれた本だ。
死んでも読み切らねば、どんな目に合うかわからない。
「…………っ」
身をもって兵長の躾の恐怖を知っているエレンは、その痛みを思い出してぶるっと震えた。
慌てて文字と睨めっこをする。
……のだけれど。
「あーーーっ!!駄目だ、全然わからねぇっ!!」
あっという間に、再び机にダイブしてしまった。
「はぁ……、どうしよう」
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