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□読書をしましょう
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実は、エレンがここまで困っているのには理由があった。


「…………。……あぁっ!!、くそ、また読めねぇ…」


そう喚いてエレンが取り出したのは、分厚い、『辞典』、だった。

「えーーっと……、」

ぱらぱらと捲り始める。

よく見ると、エレンの持っている本には、たくさんの書き込みがしてあった。

それは、意味であったり、読み方であったり、様々だった。

「あ、あった。……あぁ、なるほど、『騎馬隊』、か」

そう呟くと脇に置いていたペンでカリカリと本に書き込みをする。

本来、貴重な書物にこのようなことをしてはいけないだろう。

がしかし、こうでもしないと、とても読めない。


つまるところ、エレンは、字の読み方をほとんど知らないのだ。


巨人に壁を破壊され、難民として暮らしていたエレンには、学問を教えてくれる存在もなければ、学校に通う程の金銭的余裕も無かった。


それに、難民のいきつく先など、肉体労働をするか兵士になるか、そんなものだ。

どちらにしても、学が必要だとは思えなかった。

実際、それでここまで生きてこれたのだ。

まさかここにきて、それが壁として立ちはだかるなど、考えもしていなかった。





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