book

□読書をしましょう
5ページ/7ページ






「……はぁ、またかよ」


頭を掻き毟ると、エレンは再び辞典に手を伸ばした。


「えーーっと、これは……?、ん?なんだこれ……」

「『敵戦計』、だ。兵法の中でも、こちらが優勢な状況で使うものの総称だ。敵の油断を誘ったり、隙をついて攻める戦法が載っている」

「あぁなるほ……、ど……?」

突然後ろから聞こえてきた声に、エレンはピシリと固まった。

ポン、と肩に手を乗せられる。

「おいエレン……全然進んでねぇじゃねぇか」

「へへ、へいちょっ、あ、うわっ…!!」

振り返ろうとして、誤って本の山にぶつかってしまった。

誰かさんがこれでもかと積んだせいで、バランスは最悪だ。

ぐらりと揺れる山を、慌てて抱きつくようにして支えた。

エレンが持っていた本が、ばさりと足元に落ちる。

埃っぽいそれらの書籍を助けようなどとは、リヴァイ兵長には微塵もないらしい。

こうなった原因の半分は兵長にありますよ、という意思を込めてリヴァイに視線を送る。

すると、やれやれと言いたげな兵長は、エレンが落とした一冊をつまみ上げた。

それじゃない、と言いたいが、残念ながら、エレンにその勇気はない。

リヴァイは尚も送られるエレンの視線を無視すると、そのつまみ上げた本を、なんとなしに捲ってみた。







次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ