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□懺悔させてください
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「君の立ち位置は、危険だね」
そう言ったハンジの予感が的中した、というべきなのか。
「すみません」、と言って腕の中で泣くエレンの頭を撫でてやりながら、リヴァイは考えた。
******
泣きつかれて眠るエレンにブランケットを掛けてやると、リヴァイは部屋を後にした。
向かう先は、どうせ夜中まで研究に没頭しているであろう、眼鏡のもとだ。
「……おいハンジ、入るぞ」
そう断ると同時に、部屋のドアを開けて中へ入った。
案の定デスクで何やら書類を書いていたハンジが顔を上げた。
「やぁリヴァイ、一応乙女の部屋に入るときは、ノックくらいすべきだと思うよ?」
「はっ、どこに女がいるんだ」
そう言って、ハンジの斜め向かいに置かれた椅子に腰かけた。
やれやれ、とため息をついたハンジが、「お茶でも淹れるよ」、と言って席をたった。
しばらく、カチャカチャと食器のこすれる音が聞こえたかと思うと、湯気の立ったティーカップを二つ、トレイに乗せて戻ってきた。
そのうち一つを、コトリ、と、目の前のテーブルに置かれる。
「……で、どうしたのさ。……まぁ、大体予想はつくけどね」
そう言いながら、リヴァイの向かいに腰かける。
「…………大方その通りだ。エレンに告白された」
明後日の方向を見ながらつぶやくリヴァイを見て、ハンジが大げさなため息をついた。
「はぁぁ……。まぁ、そんなことだろうと思ったけど。……で、エレンは今どうしてるの」
「部屋で寝てる」
出された紅茶を飲む。
「そっか……」
ハンジもそれに倣って、自分の分のカップに口をつけた。
暖かいそれに、二人そろってホッと息をつく。
「……で、リヴァイ、分かっているとは思うけど、エレンは今までの子とは違うからね。」
「…………」
過去に何度か、今のような顔をしたリヴァイには対面したことがある。
そのたび、リヴァイの恋愛相談を受けてきたハンジは、もしもの時の受け皿だった。
変人でも女は女。
根っからの軍人気質であるエルヴィンや、仕事第一のリヴァイにはカバーしきれない部分を、ハンジには担ってもらっていた。
「今までみたいに、フッて居心地が悪いからって、うちの隊への移動は出来ないよ?」
「…………」
尚もハンジの方を見ようとしないリヴァイに焦れたハンジが、「リヴァイ?」、と声を掛ける。
「…………ってねぇ」
「え?」
「フッてねぇ」
「は?」
ポカン、とするハンジの顔に苛立ったリヴァイがガツンとテーブルの足を蹴とばした。
「フッてねぇ、って言ってんだ」
「…………リヴァイ、それはつまり……、えーーっと、あれ、君さっき、エレンは『部屋で寝てる』、って言ってたよね?」
いやな予感がしてリヴァイの方に身体を乗り出すと、ようやくリヴァイがこちらを振り向いた。
おそらくハンジ以外ほとんど見たことがないであろう、「どうしていいかわからん」、といった顔をした人類最強の兵士がそこにいた。
「あぁ、…………『俺の』、部屋で寝てる」
「リヴァイ……、君、それはそれで……犯罪だと思うよ」
*
思わずやってしまった兵長。
自分でもヤバいと思い、思わずハンジさんの元へ来てしまいました。
《後記》
二人のなれそめ的なものを書きたくなってしまい、思わずやってしまいました。
ろろの小説では、なかなか二人がくっついてくれないのですが、一歩ずつ頑張ります。