短編

□公園での一時
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(ってェェェェ!!!

なんで私が心痛まなきゃいけないアル!!
あり得ないネ!!!)


焦った神楽は、勢いのまま・・・



隣で眠る沖田を殴った。



「あ、」

ヤバイ、と神楽が焦るよりも早く、沖田が衝撃により目覚めた。


「・・・ッいってェな・・・

何しやがんでィ、土方コノヤロー」



・・・寝ぼけながら。


神楽は、土方と間違われたことに腹が立って、もう一度グーで沖田を殴った。


「!?・・・ッて・・・
いい加減にしろよ土方。死ね土方」

「テメーがいい加減にしろヨ!!!!!!
いつまでも寝ぼけてんじゃないネ!!!!!

私は神楽さまアル!!!!!!!!!」


言われてしばらく、沖田はボーとしていたが、やがて、


「・・・神楽?」


・・・と、呟いた。


いきなり名前を呼ばれて、胸が高鳴る。


「なっ・・・何いきなり名前呼びになってるアルかッ気分悪いネッ!!!」


言葉では、毒を吐いてしまうけど。


「あ、わりィなゴリラ女」

「誰がゴリラ女ネッ!!!
 可愛い可愛い少女アルッ!!!!!」

「は?少女とかどこに居んでィ。
 半径10m以内に人間は居ませんぜ」

「私は人間にも認められないアルかッ・・・って確かに人間じゃないアルけどッ!!!!」

「んじゃやっぱりゴリラだろィ」

「ゴリラじゃないアルッよく見るネッ!!!!」


怒った神楽は、沖田の目の前に顔をつき出す。

「は?・・・ちょっ・・・」




「「・・・」」




(あ、アレ・・・?
 何か状況おかしくないカ?)


沖田はいきなり目の前にあらわれた神楽の顔に驚いて目を見開いている。

神楽自身も、自分のした行動に驚きを隠せていない。


静かになった公園で、見つめ合う二人。



ーーーーーはたから見ればこれは・・・



そこまで考えたところで、神楽はボンッと顔を真っ赤にして沖田から急いで離れた。


沖田はまだ固まっている。




「い、いいいい今のはちょっとした事故ネ!!!!
 お前が失礼なコト言うからッ」


慌てて言い募る神楽。

しかし、絶賛フリーズ中の沖田は、聞こえているのか否か、固まったまま。


「〜ッも、もう帰るアルッ!!!!!!!!」



顔を真っ赤にして公園を出ていく神楽。


その背中を見つめる沖田もまた、頬を紅く染めていた。






「「マジでか」」







ーーーーーーー自分の想いに気付いた二人が通じ合うのは、まだ先の話。
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