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□chocolate days*
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時は2月14日。
世の女どもがキャーキャー言いながら本命やら義理やら何やらでチョコレートを渡す日。ここ、鮫柄でもそれはやはりあって。水泳部に所属しその美麗な容姿とクールな態度で女子から絶大の指示を持つ凛も今日はたくさんのチョコレートを貰っていた。




「ったく…こんなもらってもくわねぇしな…」


そう苦肉を呟きながら部活も終わり冬の寒い夕方の中寮に向かっているとポケットに入っていた携帯が通話を知らせた。




『七瀬遙』



ディスプレイにはそう書かれていた。
通話ボタンを押しハルからの電話に応じる。



「………もしもし」



「………………………」



「もしもし!」




呼びかけてもハルは無言のままで。暫くして電話口から物音が聞こえるくるとハルは



「後ろ…見て。」



とだけ伝えた。
それと同時に凛の後ろからも声が聞こえてきて。まさか、と思い後ろを振り返るとそこには電話を片手に立っているハルが居た。



「なにしに来たんだよ…」


「……凛に会いに。」



「っ…!それはわかっけど…」



やばい。嬉しい。
バレンタインだなんだとかこのくそめんどい日にハルが会いに来てくれた。胸が張り裂けそうなくらい嬉しかった。相変わらずハルは無表情で凛を見つめると凛の持っていたたくさんのチョコレートが入った袋に視線を移した。




「あぁ………バレンタインか。朝、渚が騒いでた…」


「騒ぎそうだもんな、あいつ。…こんなにいらねぇんだけどハル、食う?」



「…………そんなの要らないに決まって………………いや、要る。」



「お前がチョコレート食べてんのとか想像出来ねぇんだけどホントに食うのか?」


凛は不思議そうに首を傾げそうハルに問いかけると「食う」と一言ハルは呟き袋を凛から受け取った。



「………今日あいつ居んの?」



「あ?似鳥か?」



ハルはこくりと頷き凛をじっと見つめる。



「普通に居るけどなんでだよ」


「ちっ…居るのか。」



つまらなそうに舌打ちをするとハルは凛の手を引っ張りどこかへと向かった。



「おい、ハルっ…どこ行くんだよ!」



「…………俺の家」




「はぁ!?」



驚きの声を上げながらも手を振りきることは出来ずそのままハルの家へと凛は連行された。
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