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□真夏の日のとある出来事
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────夏休み。
今日も鮫柄学園の水泳部ではいつものようにきついくらいの練習が行われた。凛もやはりその中にいて。ハルに勝つために。ただ、それだけを目標としながら過酷な練習をこなしていた。




「松岡せんぱーいっ!お疲れ様です!」



プールサイドからは凛のタイムを計っていた後輩の似鳥がぱたぱたと泳ぎ終わった凛の側に近寄っていった。




「ん…はあ…タイムは?」




「えぇと…前より少し遅れてます…」





「…ちっ…もう一回っ…!!」





「え!?まだ泳ぐんですか!?流石に連続はきついですよ!…それに、他の部員達ももう上がってったみたいですし…」




「…良いから。大人しくタイム計っとけ。」



「…無理、しないでくださいね?」





不安にかられながら似鳥は凛の泳ぐ姿を見つめた。



(やっぱり格好いい…フォームも綺麗だし…憧れる…)



そんなことを思いながら似鳥は凛を眺めた。…だが、一方の凛はというとやはり連続で泳いでいるためかいつもとは様子が違った。




(なにこれ…なんかふらふらする…)



必死に泳ぐも頭の思考が回転しない。目の前が真っ暗になりかけ何とか似鳥の居るプールサイドに手をついた。



「松岡先輩…これさっきよりタイムが…って…松岡先輩…?」



いつもの凛とは明らかに様子が違う。
まさか、と思い必死に凛に声をかけるも応答はなくて。




(嘘、…………だろ!?)



似鳥はとりあえず自分の身体より遥かに筋肉もあって体格の良い凛をプールからなんとか引き上げながら側にあったベンチに寝かせた。




「ど…どうすればっ…!」




慌てふためきながら凛の呼吸を確認すると僅かにしか呼吸をしていなくて。
人工呼吸の方法は知ってはいるが後で凛になんと言われるか…。




(って!!そんなことは良いんだ!早く助けなきゃ…!!)



緊張しながらも凛の顔にかかる紅髪を退け息絶えている凛の唇に己の唇をあわせた。そして定期的に息を送り込み何度かそれを繰り返した。



「先輩…死なないで下さいっ…」


凛の手をぎゅ、と強く握り呼吸が回復するのを待つ。


「…………っん…」



僅かに凛の唇が動いた。そして数秒して薄く瞼が開かれ凛は意識を回復した。



「っ…松岡先輩!!」


その姿を見ると似鳥はがばっと凛を抱きしめた。本当に意識が戻ってきて良かった、そんなことを思いながら。



「…っ…俺…」



「もう…無茶しないで下さい!!僕がどれだけ心配したと思ってるんですか!!ほんとに…ほんとに意識取り戻してくれて良かった…」



そう安堵の溜息をつきながら似鳥は凛を見つめた。瞼は伏せがちで似鳥とは目を合わせることはなく頬は僅かに紅潮してるようで。そんな凛の表情に似鳥はきょと、と首を傾げた。





「…………んじゃ…人工呼吸…とかしたのか?」


凛が唐突にそう質問する。



「はい…えっと…すみません…助ける方法これしかなくてっ…!」




「いや…別に良い…悪かったな…先、あがってろ。」



「え!?まだ泳ぐんですか!?」



「泳がねぇからさっさと上がれっ…」


凛の怒号に似鳥はびくりと肩を揺らしながら言われるままに凛を置いたままプールサイドから立ち退いた。






静かになった屋内プール。
そんな中凛は自らの唇に指を当てなぞるようにしてあの時の感覚を思い出す。



「似鳥が…人工呼吸…」


そう呟いた凛の頬は先程より赤みが増していた。





end
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ふぅ…裏が無いのは初めてだったりそうじゃなかったり←


似鳥君て凛ば溺愛してますよね。
あざといっ…
続く、かもです。←

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