本篇
□第1戦
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「…次のニュースです。昨日午後4時ごろ、6番街付近の商店街で、獣人(アニマラー)による強盗殺人事件が発生しました。アニマラーによる凶悪犯罪は今月7度目になります。警備隊の調べによりますとー…」
ここはウェルズ国中心部にある街クラリス。
様々な店が軒を連ね、交通の便がよく、なにより国軍本部があり治安も良い。
当然人々はこの中心部に集まるため、クラリスはウェルズ国最大の都市にまで成長した。
ところが最近、このクラリスで凶悪犯罪が頻発している。
「怖いねぇ〜。またアニマラーだよ。」
大通り沿いにある小さな飯処の客が、ふと声を出す。
「最近になってまた活発に動きだしたよなぁ」
「国家転覆でも狙ってんじゃねぇか?」
マスターや他の客達も冗談を交えて談笑するのを横目に、1人の少女が大通りをスタスタと歩いて行た。
彼女の名前はミレア。
ブロンドの髪は肩ほどの長さで左右で結っており、カチューシャのごとくリボンを巻きつけている。
眼は翡翠に近い色をしており、一見すると14歳ほどだ。
ふと、ミレアは足を止め、左側にある建物を仰ぎ見た。
ーウェルズ国軍本部ー
門の上に彫られた文字を睨む。
その門の右側に、「新入隊員配属先選考会」と書かれた木の立看板が置いてあった。
「…よし。」
ミレアは深呼吸をして門をくぐり、中に入って行った。
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