短い夢物語
□桜舞う〜一つ目の事件〜
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翌日、物語の主人公…雪村千鶴はやはり新選組保護の身になった。きっとこの先…鬼が絡んで来るのだろう。私は自室とされた土方歳三の隣の部屋で大人しくしていた。
「ルイ、茶を三つ頼む。」
…そういえば小姓になっていたな…私は返事のみをし、茶を煎れに向かった。
……一体、何が起きたというのか……其処は台所とは言えない惨劇、更に怒り狂う井上源三郎の姿があった。
『…何が起きた?…この有様は…』
「あぁ、桜木君……私もさっき来たばかりでね。全く…あれ程食べ物を粗末にするなと…」
……思い出した…。これは俗に猫事件だな。ゲームの中でも結構呆れた話だ。
『とりあえず、片付けだ…今は手間が惜しいからな。昼餉を作り直しながらやるぞ、源三郎。』
今更ながら、私は幹部たちを全て呼び捨てにしている……敬称付けでなど呼ぶのは疎外感がするからだ。
ちゃっちゃと片付けをし、ダメになった飯と大根の葉を鍋で煮込み、おじやを…。痛みかかっている里芋を甘辛く煮付け…後は漬物があれば完成だ。
『源三郎、昼餉は完成した。私は土方に頼まれていた茶を運んでくる……後は頼んだぞ』
「おや、もう出来たのかい?桜木君は手が早いねぇ。後は任されたよ、」
…運ぶ途中、雪村の部屋辺りで話し声がしたが…これからどうするか話しているのだろう。そう思うと少しだけ笑えた。