短い夢物語
□桜舞う〜怪我〜
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「…明日から大坂に行ってくる…」
『山南も一緒…だろ?』
ルイの言葉に驚いた…俺と山南さんが大坂に行く事を話したのは今日が初めて。流石、先の時代から来たってとこか?
「…あぁ。行くのは俺と山南さんだ。……何かあるのか?」
ルイに目を向けると、何やら考えているようだ。先を知るモノとして……キツいんだろう。
「話したくなきゃ『お前ならどうする?』………何がだ?」
『…例えば、友人が怪我…それも相当酷い怪我だ。それを負うと知っていた時、お前なら前以て伝えるか?』
…な、何だと?…それじゃまるで…
「……俺か山南さんがそれ相当の怪我を負う…のか?」
ルイは苦笑いをしながら、煎れて来た茶をすすっている。…こいつは迷っているのだろう…俺たちに“伝えるか、伝えないか”。前者なら先の時代に何らかの影響あり…後者なら変わりない。
「…さぁな…。ま、俺ならば伝えねぇだろうな…伝えねぇが、守る事はできんだろ。」
俺も既に冷めている茶を飲んだ。まだルイは答えを決めかねているようだ。
『…そばにいれば…防ぐ事も可能だろうな……』
悲しげに微笑んだかと思うとスッと立ち上がり、部屋から出て行ってしまった…