落花流水

□お伽話
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翌日。案の定クラスメイト達からしつこい質問攻めにあった。いちいち反応してやるのは疲れる…適当に笑みではぐらかす事にした。授業が終わり、帰り支度をしていると永倉先生が走り込んできた。

「あ、いたいたー!ルイ。生徒指導室に呼び出し『さよなら』おー、またなぁ…って何処に行くんだ?」

……煩い。だいたい、競馬新聞片手に話す事か?

『スケジュールが立て込んでますから。呼び出しは昨日の件ですか?』

「ああ、多分な。」

『プライベートまで全て話さなければならないのでしたら、話しますが?先生方も話していただけるのかしら?…まぁ、生徒指導の方にお伝え下さい。今日も紅い車が待っているので…と。』

鞄を手に外に出ると携帯が鳴った。着信は新堂さん…何度迎えに来るなと言えばわかるのかしら。いくらサングラスをかけているからとはいえ…JADEの神堂春とハッキリわかるのに。






「あれ?春は?」

スタジオの何処を探しても春が居ない。たまたま休憩室にいた秋羅に声をかけるも…返ってきた答えに頭を抱えた。

「…春様は姫君のお迎え…に決まってんだろ?かなりご執心みてえだしな。」

昨日学園から攫うように連れてきたおかげで目を付けられてんのに…はぁーと溜息がこぼれる。

「ま、そんなに気にすんなよ?……あんな春見るの初めて…だろ?」

長い付き合いで親友の俺たち。お互い彼女が居なかったわけではないが…春の性格からか口数の少なさからか、今までの彼女とは長く続いたことはなかった。自ら欲しいと示した事もない…そんな春が初めてプロデュースしたいと高校生の彼女を連れてきた。それにも驚いたが…春の態度にも驚いた。何人も彼女に触れる事は赦さないような…ナイトのような。

「…春は彼女のこと…」
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