落花流水

□五月雨
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一週間後、神堂春プロデュースでリリースしたシングル。神堂春と言うネームバリューが高いせいか、あっと言う間にチャートを駆け上がった。そして歌い手……全てのプロフが非公開。秘密にされると気になるのが人の性分なのだろう。

「おー、ルイ!いつもの先生方がいつもの場所でお待ちだぞ〜」

……呼び出されてもないし、待っててくれとも頼んでいない。

『……はぁ。しつこいとだけ伝えて下さい。この前も追いかけられて迷惑してるんですから。』

永倉先生はそうなのかー?と手を上げて去っていった。了承の合図なのだろう。帰ろうにも外は今にも雨が降り出しそうな曇り空。傘はない。仕方がない……とポケットのスマホを取り出した。

「あれ?帰れないよ〜?さっき新八が言ってたじゃん?これから撮影が入るから帰んじゃねーぞ〜って。」

やたら話しかけてくる隣の子が教えてくれた……が?撮影?

『……なにそれ?』

「もーそこ聞いちゃう?国民的アイドルのWAVEだって〜なんか、新曲のMV撮影でこの学園がピッタリハマったらしくて〜〜しかも!相手役もこの中から選ばれちゃうって『図書館行くから』え?……まぁいいんじゃな〜い?」

教室を後にし、スマホを操作する。もちろんかける先は本社ビルにいるであろう弁護士兼秘書。

『…私。言いたい事は…………ん、そうか。……あぁ、そうだな。減俸と降格。今すぐFAXで。……んー逃げる、それしかないだろ。……いや、私からする……雨降りそうだし……あぁ、それじゃ頼んだ。』

確認するとスグに神堂さんに電話を入れたが……出ない。悩んだ末、折原さんに電話をいれた。事の顛末を話すと笑いながら迎えに来てくれると。校門は誰かに見られそうだか、今日ばかりは撮影も入る……。そこは何とかするよ、と言うが……どうするんだろう。
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