落花流水
□呼出
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「いやぁ〜〜参ったなあ……」
後手に頭を掻きながら近藤さんが椅子にもたれている。困惑顔……いや、かなり焦っているな。話を聞けば、知名度を上げる為…大元に相談もせず撮影を受けたと……
「そうしたのも何か理由があんだろ?近藤さん。」
「……実はなぁ……」
理由を聞いて愕然とした。大元である白桜グループが来年度から学園から手を引く……?
「ち、ちょっと待ってくれ。この学園の維持費、毎年いくらだと思ってんだ?全て最新のものだ……大元は何だって手を!」
「……理由はまだ聞いてないんだよ、トシ……。来年度からは生徒の学費も倍……いやそれ以上になるやもしれん……」
だから撮影を受けたんだよ、と寂しげに笑った。
「……大元と話に行こう、近藤さん。相手も人の子なら聞いてくれるさ……」
「そうだなぁ……処分も考慮してもらいたいしなぁ」
処分……FAXには降格と減俸と書かれていた。学園長の立場からの降格って事は……他の誰かが学園長になるってことだろ?んなの、誰が付いていくか!
「あ、そういや近藤さん。この学園に白桜グループの関係者いねえか?さっきヘリが飛んで来やがったんだよ……桜吹雪の」
俺が直接みた訳ではないが、あの轟音と突風は確実に着陸している。ってことは……今日の撮影の件はそいつから漏れている。
夜の帳が下りる頃。顔面蒼白の近藤さんと共に白桜グループ本社ビルに向かった……もちろん呼び出されたのは近藤さんただ一人だが、一人で話させるには酷だ。