落花流水

□オトコごころと秋の空
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学園が始まり、もう半月が過ぎた頃。仕事が忙しくなってきた。学園、自宅、会社…そのまま学園。徹夜の日々が続いて……とうとうgive upして……目を覚ますと、見知らぬベッドの上だった。

「…………此処は……」

「お、目覚めたか?……此処は保健室だ。ルイ、大丈夫なのか?」

声の主は原田先生だった。聞けば1限目の英語の時間、指名され本を読み上げている時倒れた…らしい。……1限目?……周りには夕焼けなのか、淡い光が射し込んでいる。時計を見上げれば時刻は16時……

「…ご迷惑かけました。私、急ぐんで…「送る」…お気持ちだけで。」

ベッドから降り、立ち上がろうとすると…フラついてしまう。

「……お前、寝てねえな?メシも食ってねえだろ?……今日は俺に甘えてみねえか?」

……担任の新八ならともかく…何で原田先生に?別に嫌いでもないけど、甘える事もない…はず。こんな時、頼りになるのは…あの人。ポケットから携帯を取り出し、電話をかけた。

「……ゴメン、私。倒れたみたい…………ん、わかったわ。じゃ…うん、ありがとう」

電話を切り、先生を見上げた。

「今知り合いを呼んだので、大丈夫です。それでは。」

「送るってんだろ!って……待てよ!!」

足早に保健室をあとにし、荷物を取りに教室へ向かった。途中、秘書にも電話を入れ…仕事を休ませてもらった。数分後、校門をすり抜け紅いスポーツカーがロータリーに入ってきた……目立ち過ぎ。相当焦っていたのか…いつものサングラスがない。

「……バレバレ。」

車に乗ろうとした時、後ろから原田先生の叫び声が……

「ルイ!!お前に惚れてる!俺のモノになれ!!」

…………何ソレ。明日からの学園生活、どうしてくれんの?言葉を返すことなく、ドアを閉めた。

「……ルイは人を惹き寄せる……不安だな、俺は。」

運転席の彼にを手を繋がれ、シートに身を沈めた。
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